しかし、これまでグレーだった行為が処罰対象となって起きるのは、見えていなかった犯罪の顕在化だけではない。逆に、性加害とは言えないほどの行為が犯罪認定されてしまうケースも増加する。それも踏まえた上での「実数増加」だということに、渡邊は触れていない。さらに言うなら、買春が刑罰化されたことによって、スウェーデンでは強姦が急増していることを渡邊は知っているのだろうか。
件のエッセイ内で、渡邊は「(日本では)時々、通勤時間の満員電車でわいせつな動画を閲覧する男性を見かける」としているが、そんなキ◯ガイを満員電車のなかで一度でも目撃した人が、全国にどれだけいるだろう。意図的に日本男性を陥れるにしても、もう少し現実に基づいた例を挙げたほうがいい。
この発言にも垣間見えるのが、違和感ポイントの2つめ。渡邊は、「男性だけ」を悪者とする傾向が極めて強い。
売買春を刑罰化するか否かに関しては論点がズレるため置いておくが、もしも罰するなら売る側と買う側、ともに対象とする必要がある。仮にどちらか一方を処罰対象、あるいはより重く罰するというのなら、「売る側」にすべきことは、薬物犯罪を例に出すまでもない。渡邊に言わせると、歌舞伎町の大久保公園に立ちんぼが並ぶのも、タイ人少女が母親に売られて性風俗店で働くのも、同意があいまいなまま性行為が行われるのも、すべて「男が悪い」らしい。
全部男が悪いという渡邊の基本姿勢は、3つめの違和感にも通底する。
「女性を性的物体として世の中にPRしている張本人が、女性の性的搾取について苦言を呈しているのが笑えるよ」(細川バレンタイン)
「あの写真を見れば、世の中の男性の9割以上は『エロ』だと思うでしょう」(高須幹弥)
2025年1月、初のフォトエッセイ『透明を満たす』で、豊かな谷間や艶めく美脚を惜しげもなく披露した渡邊。同3月には『週刊プレイボーイ』の巻頭グラビアを飾り、6月には水着写真集『水平線』を発売している。
こうした経緯もあり、細川バレンタインや高須幹弥らの意見には、多くの共感・賛同が寄せられた。
「自分も性を売って稼いでいるくせに、女性が性的搾取を受けていると主張するのはいかがなものか」
世間一般が抱いた、正論とも言うべき違和感に対し、「あれはエロ要素ではなく、一部が切り抜かれているだけ」と渡邊。
