山野一著『四丁目の夕日』は最終回もとんでもないが、作品全体が一貫してとんでもない。人が好く貧しい印刷工の一家に不幸がつるべ打ちのように降りかかる。それが度を超えて容赦がなく、最後の最後はどこか救いがあると思うと更にひどいまま終わる。人には読むことで嫌な気分になりたい時があり、嫌な気分に癒されることもある。
古泉智浩著『チェリーボーイズ』は童貞を苦に病む3人の男たちが問題と向き合うため性犯罪に邁進する。30年近く前に面白おかしく描かれたものだが今読み返すとどこを切り取っても大間違いで、面白おかしくもなんともなくひどい話だ。登場人物が全員クズで、クズ同志なら何が起こってもいいだろうという安易な発想で描かれており、結局性犯罪は不成功に終わる。そんな顛末が面白おかしく肯定的に描かれているものの、まったく肯定できず3人の童貞は罪に問われ、しかるべき報いを受けるべきだ。

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文/古泉智浩
画像/『ちーちゃんはちょっと足りない』(阿部共実/秋田書店)
初出/『実話BUNKA超タブー』2026年7月号
