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米山隆一衆議院議員インタビュー:「国債は国の借金ではない」という「甘い夢」を斬る

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米山 そこで私が「いや、これは私の借金だけど室井さんの資産だから何の問題もない。室井さんは5000万円の資産を持つお金持ちになったんだから、よかったじゃない」とかと言い出したらどうなります? まあ間違いなく室井さんは激怒するでしょうね。そこでなんとか室井さんを説き伏せて納得してもらったとしても、室井さんが外でその話をしたら、私の社会的な信用はなくなりますよね。「米山は、5000万円も借金をして、返せと言われても開き直って返さない。あんな奴に金を貸しちゃいけない」と。

――米山さんを政府、室井さんを国債購入者だとして、確かにその両者の間で合意ができたとしても、国際常識的なルールから外れていたら、世界的な信用はなくなりますね。

米山 「あそこは常識が通用しないんだ。まともなビジネスルールが成立しないんだ」という話になります。だから「国は国債を無限に出せる」という常識的ではないことをやり続けたら、どこかで大混乱が起こるんです。

――MMTの人は通貨を発行すればいいと言いますが……。

米山 それは室井さんが持っている私に対する債権―私から見たら借用証書を、私が例えば「お手伝い券」を発行して買い取るってことになります。そうすると借金はなくなりますが、「お手伝い券」が残るので、室井さんがそれを受け取ってくれて、私が本当に「お手伝い」をできるなら、成り立ちます。

でも室井さんにしたって、お手伝い券を1000万円も2000万円ももらっても使いようがないし、「米ちゃん本当にこれだけのお手伝いできるの?」となります。室井さんの債権(私の借用書)をお手伝い券に替えたからといって、本質は何も変わらないんです。

債権であれ通貨であれ、無限にあるものは実行できません。それに無限にあるものはそれ自体で価値がなくなります。国債であれ通貨であれ、総量管理は絶対に必要なんですよ。

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――労働や作物などの、「価値」を「数値化」して代替するためのものとして通貨があるとしたら、それが有限でないと価値はなくなりますね。永久機関が生まれない限り。

米山 はい。だから、債権/通貨は常に総量規制のもとにあるわけです。それは当然の帰結だし、「国債/通貨は無限に刷って(発行して)良い」というのは、根本的に矛盾した話なんです。

それなのに、その「国債/通貨は無限に刷って(発行して)良い」という話と現実を無理矢理辻褄を合わせようとするから、今度は「実は財務省の陰謀によって国債/通貨を発行することができない」みたいな、他のなにかを悪者にするような話になってくる。そして更にまた辻褄が合わなくなると、今度は「マスコミも政治家も財務省に洗脳されている」みたいな更なる陰謀論で悪者を作って……と、反緊縮や積極財政は、陰謀論の典型的なルートを辿っていると思いますね。

それに、政府がひたすら国債を発行し、中央銀行、日本で言えば日銀が、その国の国債をひたすら買ってひたすら通貨を発行したら直ちに景気が良くなるなら、どの国もやっていますよ。岸田さんだってこんなに支持率低迷で苦しんでないでしょう(笑)。そんな素晴らしい方法があるなら、財務省の顔色を窺ったりせず、とっくに国民の為にも自分の為にも実行しています。それなのに、どの国もやってないし岸田さんもやらないのは、そうしない合理的理由があるからなんです。

それ以前に、美味しい話というのは、必ず伝播するものです。ここからは医師からのバッドジョークですけど、バイアグラが広まった理由はご存知ですか?

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