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ダモ鈴木死去:ロマン優光連載278

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また、雅楽やアフリカ音楽といった非西洋音楽に対する興味を持っているのも、このバンドのメンバーの特徴だ。

マルコムが精神的な健康の問題を理由に脱退した後、後任の条件として考えられていたのが「歌が上手くない人」だったという。

バンドはアカデミックな音楽、西洋音楽の外に新しい可能性を見出だそうとしていたのだろう。

ダモ鈴木がギターを手に路上で行っていたのは、楽曲の演奏ではなく即興である。そう、別に音楽をやっていたわけではなく、「現象」を作っていただけなのだ。

非音楽家であり、非西洋文化圏の出身であるダモ鈴木こそが彼らが待ち望んでいた存在であり、それは運命的な出会いだった。ダモ鈴木という不確定要素の導入によってCANの音楽はプリミティブな身体性を獲得する。

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いわゆる「プログレ」とは似ていない

CANはドイツのプログレッシッブ・ロックバンドとして紹介されることが多いが、一般に想像されるであろう、いわゆる「プログレ」とは似ていない。大袈裟なキーボードソロもないし、荘厳なフレーズも、複雑な展開も、過剰なテクニックの応酬もそこにもはない。まあ、ジャーマン・プログレとして紹介されていたバンドの多くは、例えばAsh Ra TempelにしろFaustにしろ、いわゆる「プログレ」とは全然似ていないのだが、CANはその中でも独自性が強いバンドの一つだ。

メンバーの経歴からCANの音楽性を複雑怪奇なものと想像する人もいるかもしれないが、少なくともダモ鈴木在籍時までの彼らは、おそろしくシンプルな音楽性のバンドだ。

およそロック的ではないビート。シンプルでミニマルな曲構造。サイケデリックかつ覚醒感を伴う音響。フリーキーな歌声。

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