──業界の代弁者的な存在として、同業者から歓迎されているということ?
「寄ってきてくれる人もいれば、私のことを嫌っている人の声も耳に入ってきます。でもぜんぜん気にならないし、むしろ、『あなたはそれでいいの?』って思う。私は第一印象で苦手だなと感じても、あえてそこに行く。その人を抱きしめて受け入れられたら、自分の成長になるからです。たとえば渡辺樹庵さんは苦手だったけど、いまはもう大好きになってます」
──高田馬場の名店「渡なべ」などを経営する、業界の有名人ですね。なにが気に入らなかったんですか?
「癖があるんですよ。否定的な捉え方をされても仕方がない発言を平気でする人なんで。SNSで何度か私の店のことを投稿してもらったんですけど、当時の私は、けっこう辛辣だなと受け止めていました」
──渡辺さんが「クサイ豚骨ラーメンを作りたい」とSNSでつぶやいたのを見て、甲斐さんは種スープの提供を申し出たとか。
「そう。敵に塩を贈るつもりで飛び込んだ。そこから豚骨ラーメンのクサさを科学的に調べることになり、自分のラーメン作りにおいても得るものは大きかった。樹庵さんのおかげです」
──その自信たっぷりのラーメンとともに、これからのでぶちゃんはどこへ向かうのか、教えてください。
「世界戦略発動ですよ。その手始めに、インバウンド客が必ず来る新宿歌舞伎町に新店を出します。歌舞伎町は世界に開かれた窓口になっていますから、あそこで一番の博多ラーメン屋になれば、一気に世界への道が開ける。日本人は相手にせず、価格は、一杯1500円から。しかもダイナミックプライシングを導入するので、週末とピーク帯はさらに高くなります」
──とことん攻めてますね! 不安はないんですか?
「やりたいことやってダメなら諦めつくじゃないですか。人生って短いですから。いま41なので、プレイヤーとしての寿命はあと10年。そう考えると、いま攻めなくちゃいけないんです」
たびたび炎上する甲斐康太の正体は、令和の価値観を持った賢い人物だった。