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松浦大悟が解説する東京レインボープライドが炙り出したLGBT運動の矛盾

社会
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1996年に開催された第3回東京レズビアン・ゲイ・パレードでは「なぜ男性の胸は露出して良くて女性はダメなのか?」「なぜレズビアン・バイセクシュアル・ゲイ・パレードではないのか」などとゲイ中心主義のパレードに異議を唱える人たちが現れた。抗議する女性に対して運営側から「何よあんた、レズのくせに、何しやがるのか!」との差別発言が飛び出したことで事態はさらに悪化し、のちにスタッフの1人がビルの7階から飛び降り自殺している。実行委員だったLGBTパレードの父・南定四郎氏はLGBTコミュニティから阻害され、つい最近まで新宿2丁目に足を運べなかった。

翌年の1997年から3年間は東京で大規模なパレードは行われなかった。その後も再開はするものの中断・分裂・対立の繰り返しだった。つまり、中国と同じで「王朝」が継続しているわけではないのである。それを「30年の歴史」とアナウンスするところに、巧妙な政治性を感じるのは筆者だけではないだろう。そうした意味において、東京レインボープライドはLGBT運動の矛盾を炙り出す装置ともいえる。ほぼ毎年参加している筆者が感じた問題点を、読者の皆さんと共に考えてみたい。

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LGBT界の主役になったかのような女性タレントたち

今年の東京レインボープライドにはテレビで活躍する女性タレントが何人も登場した。小島慶子氏、SHELLY氏、阿部千代氏、長谷川ミラ氏、ちゃんみな氏など、日頃からアライ(LGBTへの支援者)を表明する人たちである。

代々木野外音楽堂の舞台に上がった彼女たちは、LGBT当事者に向かって一様なスピーチを繰り返した。

「辛かったね。泣いていいんだよ。いじめられたら私に言ってきて。私はあなたの味方だから。私は絶対に負けない」

こうした上から目線の言葉に筆者は面食らってしまった。

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ひょっとして彼女たちは、LGBTが弱者だと思っているのではないか。申し訳ないが、LGBTは弱者ではない。あなたの隣のLGBT活動家を見よ。彼らは年収5000万円以上のセレブたちである。

「自分らしく生きよう」と社会がリベラル化した結果、自分らしく自由に生きられるLGBTと、そうはできない不器用な異性愛者との間に格差が生まれてしまった。アメリカでは没落白人中間層の絶望死が爆発的に増え、「LGBTの人権より俺たちに再分配せよ」との声がトランプ氏を大統領として呼び戻そうとしている。日本でも同様の怨嗟がSNSに蠢いていることは周知の事実だ。

そしてマイクを持った彼女たちは最後にこういうのだった。

「今年は30周年。同性婚は30年経ってもできていないんだよ。なんでやんないの? そろそろやろうよ」

松浦大悟が語るLGBT運動の欺瞞
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