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松浦大悟が解説する東京レインボープライドが炙り出したLGBT運動の矛盾

社会
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そもそもなぜLGBTパレードをやるのか。それは「眼差し」を相対化するためである。これまで奇異な目で見られる側だったLGBTが、パレードを歩くことによって沿道のマジョリティを眼差し返す。そこでは「見る/見られる」関係が逆転する。「動物園で檻の中の動物を見ていたつもりが、実は檻の中に閉じ込められていたのは自分だった」との気付きが、マジョリティ側にもたらされるのだ。

これはフーコーのパノプティコンの議論と同じである。「見る側」が規範や価値観を決め、「見られる側」はそれを内面化していく。そしていつの間にか、自分を眼差す具体的な他者がいなくても、眼差しを感じるようになっていく。ゲイにホモフォビアが多いのはマジョリティの眼差しを内面化しているからだ、と。それを解除するためのLGBTパレードでもあるのだ。

そうした本来的な意味は忘れ去られ、それぞれの陣営がそれぞれのエコーチェンバーの「檻」に籠ってしまっている。

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反トランス運動女性の炎上

会場近くの原宿駅では、トランスジェンダーに反対する女性たちが街頭演説をしていた。

ペニスがついている経産省のトランス女性職員が女子トイレを使うことを認めた最高裁判決において「反対する女性の声は少なかった」と判決文に書いてあったため、頭にきた女性たちが立ち上がったのだ。彼女たちはエスカレートし、「たとえ手術をしていても男は男。女性スペースに入ってくるな」と、正式に戸籍変更した人も認めなくなっていった。

ところが運動の中心的人物である「女性の権利と尊厳を取り戻す会」共同代表の青谷ゆかり氏が、自分は母として男児を女子トイレに連れて入っているとうっかりX(旧Twitter)に投稿してしまったことから大炎上となった。

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3歳くらいになれば男児にも性への好奇心が芽生えるわけだが、トイレの隙間から覗かれて嫌な思いをしたという女性が苦情を申し立てたのだ。青谷氏たちは、どんな男性であっても女性スペースに入ることを認めないと言ってきたのにおかしいではないかと。まさに自らの理屈がブーメランとなって直撃した瞬間だった。青谷氏は「子育てしたことのない女性なんだろうなあ」と反論し、さらに怒りに火をつけた。こうして反トランス派は分裂した。

「東京レインボープライドは矛盾を炙り出す装置」と筆者が言った意味がお分かりいただけただろうか。

 

文/松浦大悟
初出/実話BUNKAタブー2024年7月号

松浦大悟が語るLGBT運動の欺瞞
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