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松浦大悟が解説する東京レインボープライドが炙り出したLGBT運動の矛盾

社会
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筆者は顎が外れそうになった。はあ? アンタたち女性タレントは、2、3年前にひょっこり顔を出し始めただけじゃねーか、と。

彼女たちが後日YouTubeにアップした動画には「まるで自分がLGBT界の主役にでもなったかのような立ち居振る舞い」との感想が寄せられていた。「良いことしている私を見て~」という下心を当事者たちは見透かしているのだろう。

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欧米的な解決方法以外の道を提示するタレントも

女性タレントたちは鼻息荒く「変わるのは非当事者のほう」と言うのだが、そんな彼女たちの薄っぺらさを吹き飛ばすかのように、ドラァグクイーンのミッツ・マングローブ氏は自身のグループ「星屑スキャット」のMCで次のように釘を刺した。

「隣のグラウンドではラグビーの試合、その隣ではバスケの試合をやっている。男子バスケの選手は上裸(上半身裸)だった。非当事者はこんな目線で見られているとは思わないだろう。『理解』というが、お互い棲み分けたほうが幸せなこともある」

すかさず、同じメンバーのメイリー・ムーン氏が畳み掛ける。

「あなたたちだって、マンションの隣の住人が何をやっているか、知らないでしょう?」

これまで左派は、「この道しかない」と欧米的な解決方法に拘泥してきた。性的多様性をデフォルトにした社会秩序の書き換えである。だが世界を見渡すと、そのやり方では確執が大きくなるばかりで幸せにはなれない。ミッツ氏は相互無関心こそが当事者の利益を最大化する道だと日本的な解を示したのだった。

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もう1人、女性タレントたちと一線を画した視点を持つ人物がいた。歌手の大黒摩季氏である。病気で女性臓器を全摘した大黒氏は、周りからの視線が変わったことで自分が女性であることに自信を持てなくなったという。そんな時、分け隔てなく一緒にいてくれたのがLGBTの面々だったそうだ。レインボーの厚底サンダルを履いて登場した大黒氏は、舞台の上手から下手までずらっと並んだドラァグクイーンに囲まれて「ら・ら・ら」を熱唱した。そして最後に、こんなメッセージを残したのである。

「今や、差別や偏見を表す人のほうがマイノリティになった。だからみんなには、もう許してあげてほしい。誰かがどこかで許さないと。戦争と同じ」

この言葉を聞いて、筆者は目頭が熱くなった。日本には、まったく差別がなかったわけではない。欧米に比べて相対的に少なかっただけだ。年配の方なら週刊誌が「覆面座談会 芸能人のホモ疑惑」といった特集を組んでいたことをご存知だろう。小学校の時のいじめの記憶は大人になっても色褪せない。ヘイトクライムはなかったとしても、くすくす笑いのいじめが心の傷として残っているLGBTは多い。そのルサンチマンが、これだけ巨大なイベントを作り上げてしまった。どうやって彼らの怨念を浄化すればいいのか、筆者にも答えはない。大黒氏が放った「撃ち方やめ」の号令は、LGBT運動の今を映し出す一言となった。

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