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58本目・『0課の女 赤い手錠』その第四回:杉作J太郎のDVDレンタル屋の棚に残したい100本の映画…連載104

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そのころ、ヒップホップがブームになっていて芸能人やお笑いタレントがラップをしたりしていた。それと同じには見られたくなかった。どうせやるなら本格派で行きたかった。ちゃんと下積みして修業したかった。それはダースレイダーさんや宇多丸さんも同じ気持ちだった。タレントのにわかラップに協力しているのではない、と言っていた、ように思う。

クラブ回りもたくさんした。

どんだけまじめにやってるつもりでも遊び半分でやってるように捉える人もいたはずで、ま、それはしかたない。つらい思いもよくした。がまんした。

渋谷だったか三宿だったか代官山だったか、その日もクラブで新人のラッパーとしてマイクを握っていた。

ヒップホップの世界では先輩にあたる、ひとりのラッパーが私に話しかけてきた。年齢は私より明らかに若いが見た目も雰囲気も明らかに先輩である。

怖い顔つきの、いかつい男だったのでなんらかの教育的指導があるのかと思ったら彼は言った。

「兄がお世話になりました」

「え?」

ひさしぶりに聞いた。カルトQ。やくざ映画大会。そのときにいっしょに回答者として参加していた人(たしか私が二位でその人が三位? 逆かもしれない)、現場で話が弾んだことを覚えているひとだった。その弟だったのだ。以下次号。

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『0課の女 赤い手錠』(1974年・東映東京)

出演/杉本美樹、郷鍈治、室田日出男、荒木一郎、三原葉子、岸ひろみ、小原秀明、戸浦六宏、遠藤征慈、河合絃司、土山登士幸、菅野直之、藤山浩二、関山耕司、佐藤晟也、久地明、ロルフ・ジェイサー、団巌、森祐介、相馬剛三、小甲登枝恵、鈴木曉子、松本初代、谷本小夜子、竹村清女、久保伊都子、宮崎あすか、横山繁、田沢祐子、高島志敏、山田甲一、佐川二郎、木村修、畑中猛重、丹波哲郎
企画/吉峰甲子夫
原作/篠原とおる
脚本/神波史男、松田寛夫
撮影/中島芳男
録音/小松忠之
照明/大野忠三郎
美術/桑名忠之
編集/祖田富美夫
助監督/澤井信一郎
進行主任/堀賢二
スチール/加藤光男
記録/宮本衣子
擬斗/久地明
音楽/菊池俊輔
主題歌/「女の爪あと」(CBSソニー)杉本美樹
監督/野田幸男

杉作さんの新刊『あーしはDJ』(イーストプレス)が発売中!

あーしはDJ

<隔週金曜日掲載>
画像/『0課の女 赤い手錠』のBlu-rayパッケージ

PROFILE:
杉作J太郎(すぎさく・じぇいたろう)
漫画家。愛媛県松山市出身。自身が局長を務める(男の墓場改め)狼の墓場プロダクション発行のメルマガ、現代芸術マガジンは週2回更新中。著書に『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』『杉作J太郎が考えたこと』など。
twitter:@OOKAMINOHAKABA

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