アニメ『アン・シャーリー』の脚本家
X上で気になったと言えば、NHK Eテレで放送中のアニメ『アン・シャーリー』の脚本家・高橋ナツコ氏に対するバッシングだ。そこまで大きなものにはなってないと思うが、内容的に気になることが多い。これも上で述べたこととつながっている話かもしれない。
同作品はL・M・モンゴメリの小説『赤毛のアン』シリーズのうち、村岡花子訳版の『赤毛のアン』『アンの青春』『アンの愛情』の三巻を原作にアニメ化したものであるが、文春文庫から出されている初の全文訳版『赤毛のアン』シリーズの翻訳家・松本侑子氏をはじめ、原作と違う点が指摘されるという事態が起こった。
松本氏の指摘は、アンのカバンが革の四角いトランクになっているが絨毯地のカバンが正しい、アンはピンクの服を着ないと原作にあるがピンクの服を着ている、アンの友人であるダイアナの目の色は目ではなく黒(余談だが自分もアンの赤毛をからかって喧嘩になったギルバートの髪の色がアンの髪の色と同じように見えるのは気になった)といったことを当時の時代背景とともに指摘しているが、松本氏のスタンス自体は基本的にアニメに好意的であり、「私が校閲に入れば、もっと良くなるのに!」という感じ。今から名乗りをあげても間に合わないと思うが、松本氏はアニメ制作の場とは関わりがない方なので、言ってもしかたがない。『赤毛のアン』を心底愛しているから細かいところも気になるのだろうけど、怒っているとかそういう感じではなさそう。
それはさておき、普通に原作との違いに否定的な反応をしめす人もいるし、その中には79年の高畑勲版アニメ『赤毛のアン』に思い入れが強い人による否定的見解もあっただろう。
こういう流れの中で、脚本化である高橋ナツコ氏が一部から名指しで批判を受けだしたのだが、こういった人たちは『アン・シャーリー』自体を観て叩いているというよりは、以前から彼女を敵視している人が便乗していると見た方がいいだろう。
高橋氏が過去に脚本家として関わった作品名をあげて、彼女は原作クラッシャーであるとするものが多い。たとえば、シリーズ構成を務めた『覇穹・封神演義』だ。確かに一般的に評価の低い作品だが、そもそも原作『封神演義』(藤崎竜)のコミック23巻分を1クール23話におさめるのは誰であっても無理であっただろうし、もし戦犯がいるとしたら、そのような条件で制作することを決定したプロデューサーなのではないだろうか。『鋼の錬金術師』(荒川宏)のアニメのように数話しか担当してないものをシリーズ構成したように言っている人もいたが、さすがに適当すぎだと思った。