特定の特徴を持つ人を〇〇さんとくくる呼び方は、本人は親しみやすさ・愛くるしさを出すためだと考えているようだが、ひとによっては下に見て、小馬鹿にしているととるだろうし、それは少なくもないだろう。障害・疾患名と結び付けたことで、著者の狙いとは逆にそういった人への悪意を感じる人もいる。実際のところ、こういった呼称には対象を面白がるという側面があるので、悪くとる人がいても仕方がないのではないだろうか。障害・疾患名と結び付けたら絶対ダメなやつである。
「うまく動かす」「尻拭い」という言葉も単なる職場の迷惑な人に対してのものだと特に悪くとられないだろうが、結びつけるものによって悪くとられるものである。
読めば読むほど、この本のなかで障害・疾患名をああいうかたちで扱うことの必要のなさを強く感じる。
「俺様社員」
そもそも、神田氏の発達障害に関する理解にも疑問がある。
X上で、発達障害に特化したファイナンシャルプランナーとして活動しているADHD当事者の岩切健一郎氏が、
『ADHDは「モチベーション欠如障害」』という言葉を見つけてしっくりきた。
取り掛かるための自己動機付けが苦手で、なかなか動けない。
だからこそ、モチベーションを落とさない工夫やモチベーションに関係なく動かざるを得ない状況を、元気なときに作っておくことが大切。
と投稿したところ、神田氏はこれを引用し、
へーっと思った。何となくASDの人がそんな感じに思えたから。ADHDは興味関心が移りやすいからどちらかといえばすぐに行動する気がする。モチベ継続が課題なのはとても理解できるなぁ。
とコメントをつけたのだが、岩切氏の投稿はわりと知られているようなことについてなのに、発達障害・カサンドラ症候群専門をうたっているカウンセラーがこういう反応をするのは変ではないだろうか。
ちなみにカサンドラ症候群というのは、家族など関係性の近い人がASDによって生じるコミュニケーションの困難によるストレスで不安障害や抑うつなどの症状が出ている状態を指す言葉で国際的な診断基準で認められた疾患名ではない。