職場での発達障害・グレイゾーンの人への接し方について書くならば、医師の監修も受けてキチンとやるべきだと思うし、単に職場の迷惑な人に対する対応のハウツー本なら障害・疾患と結びつける必要はない。どちらを本当はやりたかったのかわからないが、同一テーマの本との差別化を図ろうとした結果、よくわからないものができてしまったのではないだろうか。多少の話題性ねらいはあっただろうが、あそこまで炎上するとは思ってなかっただろうし、出版社、著者ともに何でこうなったか、よくわかってないのでは。
炎上後に出版社も著者も反応する前に真っ先にだされたイラストレーターの芦野公平氏の声明(一番責任のない立場にあるのに)は何が問題であるかを理解した上でのもので、実際高く評価されている。
しかし、三笠書房も神田氏も差別であるという批判に対して、そういう気持ちはありませんというようなことを返しているのだけど、差別というものは自分の気持ちとかは関係ないという原則がわかっておらず、何ともいえない。本人たちに差別しようとする意思はなかったというのは、まあ、そうなのだろうが、差別的な部分の多い本に仕上がったとしか言えないし、その無自覚さが問題なのだと思う。
悪気はないからといって何でも通るわけではないのを実感させられる本だし、なんでまたこんなことにと思わせられる本である。
この炎上に対して、三笠書房のHP上で神田氏は、
本書を通じてお伝えしたかったことは、「知ることの大切さ」です。
と発言しているが、それを読むとなんともいえない気分になるのであった。
〈金曜連載〉
画像/『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』神田裕子
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PROFILE:
ロマン優光(ろまんゆうこう)
ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『嘘みたいな本当の話はだいたい嘘』『90年代サブカルの呪い』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。
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