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陥没の八潮は日本一住みたくない街だった

社会
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ただし残っているのは大きな水路だけで、小規模な水路は暗渠化されて、その上は道路となっている。

「つまり空洞の上をトラックがガンガン走ったり、路駐していたりするわけだろ。陥没の危険はないのか?」

穀倉地帯だったのも今は昔。農地は倉庫や工場に変わり、埼玉県東部地域有数の工業地帯となっている。道路はいつでもトラックだらけ。路駐も日常茶飯事だ。

コンビニ駐車場もトラックが止められるほどの広いスペースを取っているところが数多く見られる。ちなみに工場や倉庫だけでなく、産廃処理場も多数。「アスベスト処理場」の看板まで掲げられている。

「青森に比べて空気が悪いなぁと思っていたけど、もしかして八潮だから?」

住みたくないどころか、息もしたくない街である。

「それにしても産廃処理場に向かうトラックって、過積載が多くないか? 規定より重いトラックがそんなに走っていたら、マジで危ないって! マジで陥没するからやめて!!」

八郎の心配が募る中、年明け1月28日、案の定、陥没事故が発生してしまった。

現場となった「中央一丁目交差点」は市役所の近くと言ったが、そのさらに近くには浄水場があり。すなわちそこは……。

「暗渠の五差路じゃん!」

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陥没した穴の画像を見ると、コンクリートの水路がいくつか見えることから暗渠が交差していたと思われる。それよりはるか下にある下水管が老朽化して破裂し、液状化して巨大な空洞となったのが原因とされているが、空洞となった上の道路を支えていたのは暗渠だとしたら、それもやがてトラックの往来で破損していき陥没したのかも……。

「しかし1週間は下水の臭さに耐えられなかったっていうから、あの近くに住んでいなくてよかったぁ……いや、よくない。復旧までどのくらいかかるの?」

下水道管の迂回工事の完成は5月中旬で復旧までは2年かかるという話。

「2年? 無理! でも、息子の受験までは……」

文部科学省発表の「学校基本調査(2023年)」によると、八潮市の大学進学率(現役)は20・3%で全国800市区中738位。

「うん、無理! 即引っ越す! えーと、八の付くところは……よし! 千葉県八千代市に行くぞ!!」

南下して足立区に入ると足立区が大都会に見えるのだった……(八千代地獄編へつづく)。

 

文/ダテクニヒコ
初出/『実話BUNKAタブー』2025年5月号
写真/編集部

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