「神谷は『コンビニのメロンパンを食べてはいけない。あれは毒だ。病気になって製薬会社の世話になるように仕組まれている』『農薬まみれの輸入小麦は体に毒』と不安を煽っています。科学的根拠はないのですが、『食と健康、環境保全』といった表面上のマトモさに感化された主婦層や意識高い系の人などが、そのヤバさに気付かず支持しているようですね」(前出・政治評論家)
この延長線上にあるのがコロナ禍における「反ワクチン」の主張だ。「mRNAワクチンは人体実験であり、DNAを改変する」「コロナは人工ウイルスでパンデミックは人口削減のために製薬会社と国が仕掛けた計画」だそうで、「日本はディープステートの属国」のため、このような事態になったのだという。仮にコロナ禍の最中に参政党が今のような国政への影響力を持っていればどうなっていたかを考えると空恐ろしくなる。
こうして見ればわかるように参政党はマトモな保守政党でも改革政党でもなく、単なる陰謀論ポピュリズムに過ぎないのだ。そして本当に問題なのは、今の日本にはこうした陰謀論が何の疑問もなく受け入れられてしまう土壌があるという事実である。
広がる陰謀論ビジネスの実態
陰謀論は一部の過激な政治勢力や宗教団体に限った話ではない。すでに一般にも広く浸透し、さまざまな媒体やSNSで流布されている。しかも問題なのが多くの場合、陰謀論の発信者全員が本気で陰謀論を唱えているわけではない点だ。
「信じているのはごく一握りで、あとは完全なビジネスでしょう。大衆の不安を煽ることで書籍を売り、再生数を稼ぎ、フォロワーを獲得する。陰謀論ネタはネット社会における一つのビジネスモデルになっているんです」(前出・政治評論家)
記憶に新しいところでは2024年から突如として盛り上がった予言ブームがその典型例だろう。火付け役となったのは漫画家・たつき諒が1999年に発表した『私が見た未来』という作品だ。飛鳥新社がこれを復刊・増補して2021年に発売し、オカルト層・スピリチュアル層を中心に爆発的な支持を集めた。この本に記されていた「2025年7月5日に大災害が起きる」との予言がSNSで爆発的に拡散した結果、電子書籍を含めて106万部を売り上げ、著者と出版社にはおよそ9億円を超える利益があったという。