参政党の発言力が拡大必至
またぞろあのヤバい政党が勢いを増している。6月22日に投開票された東京都議会議員選挙で、参政党は世田谷区、練馬区、大田区の3選挙区において初の都議会議席を獲得した。公認候補4人中3人が当選という高打率ぶりで、いよいよ地方政界への本格進出を果たしたかたちである。
一部メディアでは「泡沫政党の躍進」などと紹介されてきたが、実態は少し違う。参政党は既に国政政党として4議席(参議院1、衆議院3)を有しており、都議選以前には兵庫県尼崎市議選などで議席を得ており、ジワジワと全国的な知名度を得つつあった。
この流れに拍車をかけたのが6月末に発表された梅村みずほ参院議員の参政党入党だ。梅村は前日本維新の会所属だが、問題発言を連発して波紋を呼び、追放同然に維新から離党した後は無所属として活動していた。
その梅村が加わった意味は大きい。参政党はこれで公職選挙法の政党要件(所属国会議員が5人以上、直近の衆院選挙か参院選挙での得票率が2%以上)を満たすことになり、今後は国会での発言力も拡大することになる。来るべき夏の参院選でも比例票に少なからぬプラス効果があるだろう。
「政党要件を満たしたことで、テレビや新聞などのオールドメディアでも取り上げられる機会が増えました。事実、先日はこれまでほぼ無視されてきた『報道ステーション』にも主要8政党のひとつとして党首討論に呼ばれています」(政治評論家)
にわかに注目を集める参政党だが、その実態はあまり知られていない。2020年4月に現代表の神谷宗幣らによって設立され、当初から「投票したい政党がないなら自分たちで作る」というDIY的スローガンを掲げ、政党としては異例の草の根運動を行ってきた。
大きな特徴の一つが、「党員中心の政党構造」だ。従来の政党が議員や後援会を軸に組織されているのに対し、参政党では「支部を党員が作り、そこから候補者を立てる」という自律的なモデルを標榜している。地元の名士や保守的な一般有権者が支部運営の中心となり、ネット上での発信活動や政治参加を通じて党勢を広げている。候補者公募制度も整備され、政治経験のない新人でも「やる気」さえあれば出馬が可能な設計になっている。