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参政党、GHQ、反ワク、Qアノン…右翼も左翼も金持ちも貧乏人も日本人は陰謀論まみれ

社会
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 陰謀論は不安を煽り、「敵」を作り出し、感情を動かし、金や集客の数字に変換する。政治、出版、エンタメ、医療、どんな分野であれそれは可能なのだ。これは世界的な兆候でもあり、アメリカ発の「Qアノン」などはまさにその典型だろう。

「Qアノンの世界観は日本にも大きな影響を及ぼしています。たとえば参政党は既成政党やメディアが語らない『裏の真実』をネットで発信する政党として支持されていますが、その主張を冷静に見ればQアノンそっくりで、単なる陰謀論の寄せ集めに過ぎません。ディープステート、ワクチン、GHQ、グローバリズム、洗脳といったキーワードは、いずれも国民の不安を刺激するためのものでしかありません」(前出・政治評論家)

 一見荒唐無稽な陰謀論が、なぜ一定数の有権者に支持されてしまうのか。その理由は明快だ。「分かりやすく、不安を代弁してくれる」からである。彼らが語る陰謀論は、社会に対する漠然とした不満や閉塞感を、分かりやすい敵(財務省、メディア、グローバル勢力等)に置き換えてくれる。複雑な現実を単純化し、怒りの矛先を与えてくれるのだ。そして、このスキームを巧みに政治に応用したのが参政党だったというわけだ。

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 もっとも、陰謀論に染まっているのは右翼だけではない。参政党を「陰謀論まみれだ」と批判してきた左派・リベラル層も、実は同じ穴のムジナである。れいわ新選組代表の山本太郎は「ウクライナで戦争が終わらないのは軍需産業を儲けさせたいバイデンのせい」「日本は情報統制されている」といった陰謀論的演説の常習犯だ。また、一時期盛り上がっていた「財務省解体論」でも、「財務省=悪の中枢」「国民を貧しくする計画が進んでいる」などと主張する左派が大勢いたが、これらを裏付けるデータや証拠は一切提示していない。

「先の都知事選でも、蓮舫候補の支援者の中に『小池百合子はディープステートと繋がっており、選挙結果は操作されている』といった陰謀論を唱える勢力がいましたね」(前出・政治評論家)

 さらに言えば、政権を担う自民党も同様であることを示したのが参院選中に起きた「スプートニク」を巡る一件だ。

 これは自民党の小野寺五典政調会長が参政党の東京選挙区公認候補がロシア国営メディア「スプートニク」のインタビューを受けたことに対し「ロシア製偽情報に操られる日本の選挙と参政党」とXに投稿した。「民主政治への重大な犯罪行為かと」と非難し、野党からも同様の声が出たが、これも根拠なき陰謀論による攻撃に他ならない。

 かつて「一億総中流」と言われた日本は、いつの間にか「一億総陰謀論化」してしまったのだろう。だが、それも仕方がない。陰謀論は、現実の複雑さに比べてあまりにもわかりやすく、気持ちがいいのだから。

 

文/小松立志
初出/実話BUNKA超タブー9月号

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