一部全国紙は、依然として《退陣の意向を固めた》《8月中に》という報道を続けている。根拠は、石破首相が周辺にそう漏らしたこと、また党幹部や政権幹部の証言などだ。しかし、石破首相は「そんなことはひとことも言っていない」と断言し真っ向から全面否定している。
自民党のベテラン議員がこう明かす。
「このような状態を生んでいるのは、いかにも永田町的な話だ。政治記事にはリークがある。政治家が意図的に新聞やテレビに情報を流し、観測気球を上げ、ときには流れを作る手段にする。当然権力闘争がそこにある。一方でマスコミも、権力闘争に巻き込まれたり、スクープが乗じて流れを作ってやろうと、意図的に記事を一定の方向にもっていく、つまり『権力を動かしているのは俺たちだ』というおごりがあるのだ。かつてナベツネ(元読売新聞グループ本社代表取締役主筆)や、ほかの新聞社やNHKなどにもそういう輩がいた。今回も、石破退陣の論陣を張って、本人にはろくに裏も取らず書いているところがある」
石破首相は今回こうした退陣報道を続けている新聞などに対して「あんな奴らに負けるわけにはいかない」と逆に続投への意思に火がついていると側近は言う。
進退問題の大きなヤマは、8月中にも出される自民党の参院選総括だろう。それを議論する総括委員会は、すでに始まっている。
「ここで総括後に森山幹事長が辞任するのではないか。辞任によって石破首相はそのままという決着になるか。世論も見ながらここが最終的な大きなヤマになる」(自民党選対幹部議員)
一方、政治のほうは、関税交渉の影響や物価高対策として掲げた現金給付や減税など参院選の結果を経てもその方向性は定まっていない。
進退問題の決着に全力を注ぎ、本来の政治課題に取り組む責任を痛感せよ。
文/村嶋雄人
初出/実話BUNKAタブー2025年10月号