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谷本真由美×松浦大悟対談 日本のLGBTやフェミニストは海外よりも圧倒的に生きやすかった

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谷本 それまでは文字だけのやりとりだから、余計高まっちゃうんでしょう。今ではまたちょっと違うニュアンスですが、LGBT向けのマチアプがだいぶ普及してきましたね。

松浦 よく思っているのは、LGBT活動家の人って「俺たちの人権運動のおかげでゲイが生きやすくなったんだ」とか言ってきますが、実際に僕らのクオリティ・オブ・ライフを上げてくれたのって、出会いを提供してくれたゲイ雑誌の文通欄、さらに発展したマッチングアプリだと思うんですよね。

谷本 決して活動家主導ではなく、すべて当事者自らがよりよい生活を求めていった結果、成り立っているコミュニティという感じがしますよね。私のゲイ友達は、アメリカ、スペイン、イタリア、フランス、ロシアにもいるんですが、彼らの話を聞いても、どこも結局活動家が何かしているわけではなく、自発的かつ自律的にコミュニティをつくっている印象が強いです。

松浦 本屋に並んでるLGBT活動家の本なんかを見てみると、自分を被差別属性に置いて、マジョリティがいかにLGBTを取り扱えばいいかっていう取説本になっちゃってる。くだらないなと思って。そもそも、日本でも海外でもLGBTに対する差別はあれど、そのレベルはまったく違いますよ。拙著にも書きましたが、あるNGOによる、2022年に殺害されたトランスジェンダーの国別調べでは、アメリカ51人、ヨーロッパ14人で、ブラジルが96人、メキシコ56人に対し、日本は0人。別にこれは22年だけの話ではなく、戦後一貫して日本ではトランスジェンダーが殺されたっていう事件はないわけです。海外でいう差別は、後ろから急にピストルで撃たれたり、家に火をつけられたりするレベルなのに、日本での差別っていうのはクラスの中でのクスクス笑いとかでしょう? 今年3月に天寿を全うされた、キャンディ・ミルキィさんという有名な女装愛好家がいましたが、もしキャンディさんが海外で暮らしていたらきっと殺されてしまっていたと思う。日本にいたから自由に女装を楽しめて、お孫さんにまで理解を得られていた。それだけ差別レベルが違うのに、日本でも世界と一緒くたにしてこの問題を報道していいものなのか、非常に疑問です。

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谷本 結局、活動家や報道人は海外に住んだことがないんですよね。私はアメリカの南部やヨーロッパに住んでいたけど、やっぱりレズビアンやゲイが殴り殺される事件もあった。大学時代にはアメリカ人のゲイ友達が「殴られたら怖いからあんまり外出できない」って怯えていたし、地元には筋肉ムキムキで「ゲイがいたらぶん殴ってやる」的な思想で生きている大男もいました。

松浦 世界各地でLGBT差別禁止法が広がっているのは、リアルに命が奪われてしまうからってことですよね。

子どもをLGBTにしたい親

谷本 そういえば、トランプ大統領の周りのスタッフには、ゲイの方もいらっしゃいますよね。奥さんもスロベニア人だし、娘のイヴァンカさんのお婿さんもユダヤ系なのは、アメリカ人大統領としてはかなり珍しい。アメリカの白人って、まず外国人とデートすらしませんからね。だから、世間のイメージとは違って、トランプはちゃんとリベラルな人だと思うんですよ。

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