外国人が優遇されているというのも無知の産物でしかない。基本的に日本に住む外国人は日本人と同様に税金や社会保険料を払っている。その一方で選挙権を持てないなど基本的な権利はかなり制限されている。優遇の事例として盛んに取り上げられる生活保護に関しても、実際に受給できるのは永住者や定住者に限られている。
「若年層の反響が大きかった『留学生が日本人学生より優遇されている』というのも悪意を伴ったデマですね。実際は留学生全体の3%ほどしかいない国費留学生などを対象に生活費などが支給されているにすぎません。それを留学生全体が優遇されているかのような誤解を流布して、外国人叩きにつなげていました」(前出・ジャーナリスト)
データや現実を突きつければ、「移民反対」と叫ぶ者たちがいかに非論理的で、ただの感情論にすがっているかは一目瞭然だ。彼らは「日本を守れ」と勇ましく叫ぶが、自分の無知と偏見を晒しているにすぎない。第一この空気を作った張本人である参政党の神谷宗幣代表ですら、参院選後には、「日本人ファーストは選挙の期間中だけのキャッチコピーですから」と恥ずかしげもなく語っている。
「神谷は外国人排斥の主張を徐々にトーンダウンさせています。さすがに無理筋の主張であることは分かっていたのでしょう。ただ、場当たり的に方針を変えるため、今度は『移民の受け入れは10%以下ではないか』とポストし、『そんなに多く受け入れるつもりなのか』とツッコミを受けて、
『今入れていいのは5%以下』と修正するなど迷走気味です」(前出・ジャーナリスト)
結局のところ「移民反対論」とは、参政党が政治に無知な有権者の恐怖心を煽り、票を集めるための方便でしかなかったわけで、これに乗せられてしまった人々の民度も知れるというものだろう。
移民抜きでは崩壊する日本社会
移民受け入れに反対する人々は、まるで「今の日本は日本人だけで成り立っている」とでも言うような主張を繰り返している。しかし、その認識自体がすでに時代錯誤だ。現実を直視すれば、日本の社会はすでに外国人労働者なしでは回らなくなっている。
厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出によれば、2023年10月時点での日本で働く外国人労働者は約200万人。これは過去最多であり、全労働者の3%近くを占めている。数字だけ聞けばまだ少なく感じるかもしれないが、問題はその“偏り”だ。外国人労働者は特定の産業に集中しており、文字通りその現場を支えている。
