たとえばコンビニエンスストアだ。都市部に住んでいれば、多くのコンビニで深夜勤務のアルバイトが外国人になっていることは実感しているはずだ。すでに外国人がいなければ店舗運営は不可能と言ってもいい。
「ローソンの発表によれば、首都圏の一部店舗では外国人スタッフ比率が4割を超えていますし、地方でも3人に1人は外国人バイトです。ファミリーマートやセブンイレブンも状況はほぼ同じで、外国人がいなければ24時間営業は成り立たなくなっています。反対派が望む移民ゼロ社会とは、『コンビニが夜10時で閉まる社会』なんです」(前出・ジャーナリスト)
さらに深刻なのが介護分野だ。高齢化率が30%に迫る日本では介護人材が圧倒的に不足している。厚労省の推計では、25年には約32万人の介護職員が不足すると言われている。すでにEPA(経済連携協定)や技能実習制度を通じてフィリピン、インドネシア、ベトナムなどから数万人単位で介護人材が来日しているが、それでも需要には到底追いついていない。
「もし安い賃金で働いてくれている彼らを排斥すれば介護業界は崩壊します。現状ですら外国人材に依存しているのに、彼らを排除すれば老人ホームは人手不足で閉鎖の嵐。家族介護の負担は跳ね上がり、結果として高齢者の孤立死などが増加するでしょう」(前出・ジャーナリスト)
建設業や農業も同様だ。大阪万博や東京五輪関連の建設現場ではベトナムやミャンマー出身の作業員が大勢働いていた。東京の再開発や地方の道路工事も事情は同様だ。彼らを追放すれば工期は大幅に遅延し、都市のインフラ整備は滞り、公共事業はストップする。
農村でも収穫期になると外国人技能実習生が文字通り人海戦術で畑を支えている。もし外国人労働者がいなければ、地方は農産物の出荷すらできない。結果、スーパーの野菜価格は高騰し、庶民は食費の値上がりで悲鳴を上げることになる。
