それでもなお移民を拒否して、日本国内だけで何とかしていくというのであればそれも仕方がない。ただし、その先に待っているのは「美しい日本」どころか、むしろ「不便で貧しく後進国に逆戻りした日本」の姿だ。移民排斥論者が夢見る「日本人だけの社会」とは、コンビニが閉まり、外食産業が壊滅し、老人が放置され、農産物が腐り、都市インフラが崩壊するディストピアだ。外国人がいなくても、貧窮にあえぐ日本人が犯罪に走ることも目に見えている。
しかもその場合、真っ先に厳しい状況に追い込まれるのは、外国人排斥を声高に主張している層であることは間違いないだろう。参政党支持者に象徴される排外主義者は総じて低収入層や働いていない主婦層だと言われている。そもそも社会の現状を理解できず、不確かな情報を鵜呑みにし、感情に任せて外国人攻撃をするような人間にマトモな収入をキープできるとは思えない。
「彼らは『外国人より、日本人である俺たちを優遇しろ』と主張しているのですが、果たして彼らに『日本人である』というだけで優遇されるだけの価値があるかは疑問です」(前出・ジャーナリスト)
経済が回らなくなれば、当然ながら税収も減る。これによって医療や福祉、インフラといった現場にカネが回らなくなり、賃金の低下、企業倒産、増税というさらなる負のスパイラルが進むことになる。この未来を避けるには自分たちで社会を支えるしか道はない。まず労働人口をキープするために、現在、外国人労働者が担っている肉体労働やサービスの現場で日本人が働かなければならない。
「金の有無や年齢にかかわらず、若者も主婦も老人も、体が動かなくなるまで働かなければ社会がキープできなくなります。ただ、これからはAIもますます進化するでしょうし、いわゆるホワイトカラーの仕事は一部のエリート層だけで十分に事足ります。そうなると、今の状況でFラン大学しか行けず何の専門知識も身につけていないような人材に仕事はありません。外国人が担っているブルーワークに従事してもらうしかないでしょう」(前出・ジャーナリスト)
将来的には、安定した税収のために子供を産んで人口を増やすことも必須だ。今はまだ『産まない自由』などと言う余裕が残っていても、人口が増えなければ未来はない。少なくとも今の日本で「人口が減ったとしても、今の社会や生活レベルは維持できる」というのは夢物語でしかないのだ。
