「高市総理は、総務大臣時代の答弁で物議を醸しましたが、そもそも一人で大臣室に閉じこもる傾向があり、周囲の官僚は苦労していた。石破茂前総理(68)と同様に、勉強熱心だが、人づきあいが苦手で、何でも一人で抱え込むと言われます。総理就任後もそれは変わっていません。初めての予算委委員会が行われた11月7日には、午前3時に総理公邸の執務室に入り、各省庁が用意した答弁書に赤ペンを入れ、一つ一つ修正した。自ら手をいれる熱心さは感心しますが、問題となった台湾有事をめぐる答弁も、役所の用意した答弁ではなく、総理の持論を説いたものだった。舌禍は政権の命取りになりかねず、今後の答弁には慎重さが求められます」(自民党関係者)
連立の維新の党の政治資金問題
高市政権を取り巻く、二つ目のリスク。それは、連立パートナーの日本維新の会を巡る問題である。 「維新はかねてより、所属議員の不祥事の多さが指摘されてきました。政権入りしてからも、『しんぶん赤旗日曜版』が、藤田文武共同代表(44)が印刷費などを公設秘書の会社へ発注していた問題を報道。〝公金還流疑惑〟として批判を集めています」(政治部記者)
筆者も11月17日発売の夕刊紙『日刊ゲンダイ』に、維新の遠藤敬総理補佐官(57)を巡る、企業からの違法な寄付疑惑についての記事を寄稿した。遠藤氏は維新で、他党との交渉窓口となる国対委員長を長く務めてきた人物。高市政権では総理補佐官として、高市総理と維新のパイプ役を担っている影の実力者だ。
そんな遠藤氏を巡り、今回浮上した疑惑とは何か。それは、2021年衆院選の際に支援企業のX社が、ホテル代を支払って、遠藤氏の選挙支援に人員を動員していた問題だ。X社のオーナーのA氏自身も、街頭でのぼり旗を持つなど、遠藤氏の選挙運動に携わっていた。A氏は23年に酒気帯び運転および過失傷害で逮捕された過去があり、その後、有罪になっている人物。X社としても、今年に入ってから、三重県から産業廃棄物処理業者としての許認可を取り消しされた。
しがらみのない政治を掲げ、政治資金問題に厳しい姿勢をとる維新にはふさわしくない問題──。政治資金問題に詳しい神戸学院大の上脇博之教授は、筆者の取材にこう指摘していた。
「企業が宿泊費を負担し、労務費が生じる活動に従事させれば、候補者への事実上の寄付行為(労務提供)となる。政治資金規正法では企業の候補者個人への寄付は禁止。企業等の寄付の制限(21条、22条の2)に違反する可能性があります」
しかし、こうした問題が相次いでも、高市総理の維新への信頼は揺らいでいないようだ。11月17日には、維新の藤田氏と面会し、自民と維新の連立合意書で定めた衆議院の「議員定数削減」の推進について改めて確認した。
「実は、藤田氏が師と崇めるのが、東洋思想家を名乗る林英臣氏(68)です。林氏は松下政経塾の1期生で、5期生の高市総理の先輩にあたる。そうした経緯で、高市総理と藤田氏の間を、林氏が取り持ったのです。それで信頼関係が生まれた。
