友利氏の解説自体はわかりやすく、ためになるものである。「課題も含め、これから一定の役割が果たせるものになった」という編集部の自負もここにあるのだと思う。
ただ、それ以外の部分で非常にモヤモヤとした気分にさせられるのである。
以前も書いたが、ネットで問題があるのではないかと指摘されている彼のイラスト全てが本当に問題があるのかは個々の作品において検証していかなければならないことであって、江口氏の全てを悪と叩けるような話では断じてない。彼が描線や色彩で見せた才能や後進のイラストレーターや漫画家に与えた影響という実績まで否定できる話ではないし、トレパクのみの作家と罵倒するのは無理がある話。
この対談で江口氏本人も言っているが、明確にパロディ、オマージュであると理解できるものまでパクリとするのは無謀過ぎる。
炎上中のバッシングはさすがにどうかと思うような決めつけや暴言も多かったし、今まで見た炎上を煽るポストを参考にどうやったら人を煽れるか考えながら書いたと言っている悪質な人間までいた。
報道の仕方にも問題のあるものはあった。
それに対して江口氏や周囲の人間が怒りをおぼえるのは理解できる。
ただ、あの時に起きた江口氏に対する批判が全てそのようなものであり、全て不当だったと認識しているように読めるものになっていることにモヤモヤするのである。
自分によせられた批判が「トレースはすべて悪」というものだけでないのは江口氏もわかっているとは思うし、編集部もわかっているとは思うのだけど、法的な話とネット民批判ばかりが目に付いて、実は全然わかってないのではないかと不安にさせられるのだ。
実際、率直に否を認めているパートもあるのだけれど、ネット民に対する反発だったり、それ以外の批判に対する無理解な部分がそれ以上に印象に強く残ってしまうのである。
