もう一つ重要なのがメロディック・ハードコアと「メロコア」の指し示す範囲は必ずしも一致するわけではなく、「サブカル」が単純にサブカルチャーの略称というわけではないのと同じで、日本で言う「メロコア」はメロディック・ハードコアの単純な略称というわけではなく、もっというならば「メロコア」も「サブカル」と同じで人によって指す範囲が違うものである。
Fat Wreck ChordsやEpitaph Recordsのバンドが世界的に人気を得て、それらのバンドの影響の強い音楽性のバンドが「メロコア」とみなされていて、本来のハードコアパンクの領域に属するバンドはメロディックといわれることがハードコアパンクの文脈では多いのではないだろうか。直接関係ないがBeyondsはどう考えても「メロコア」ではないと思ってる。
メロディック・ハードコアの初期のバンドは確かに世界規模で見れば政治的なバンドが多かったのは事実である。
しかし、メロコアに政治性がないという意見も、一般的に「メロコア」と言われているような初期の日本のバンドで全体的に政治的な傾向があったわけではなく、当時の国内での一般的な受用のされ方を考えても間違っているわけではない。
メロコアはヤンキー的な価値観だというのは乱暴ではあるが00年代以降の国内のバンドのドメスティックな変化と受用を考えると一概に間違っているとも言えない。ただ、前提となる時代や事象、文脈の説明がされていなければ伝わるわけがないだろう。
しかし、SNSでは前提条件をすりあわせることなく、違う意味で使われているメロコアという言葉を自分が思うメロコアというものと同一であると考えて発言を重ねていくわけで、これでは会話が成立するわけがない。
結局、SNSというのは議論に向いていない場所だということに尽きるのである。
〈金曜連載〉
画像/『LAST OF SUNNY DAY』Hi-STANDARD
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ロマン優光(ろまんゆうこう)
ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『嘘みたいな本当の話はだいたい嘘』『90年代サブカルの呪い』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。
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