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99円セールで『花の慶次』を買って原作も読み直してみた。:ロマン優光連載409

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「なんか違う!」みたいなところがない

BM ネクタール』(藤澤勇希)がセールの時も、ついでに他の藤澤作品も色々と買ってしまうことに。お金のこともあるが、全部読むのに時間がとられてしまうのが問題なのだ。読まずにおいておけばいいかもしれないけど、買った漫画は一気に読んでしまうので。

好きで買っているわけで当然どの作品も面白かったのだが、改めて『花の慶次』と『一夢庵風流記』を読み比べてみて色々と気付いたこともあり、特に楽しい時間だった。

戦国時代の実在の武将・前田慶次郎利益(名については利太など諸説ある)を主人公にした歴史小説『一夢庵風流記』を漫画化したものが『花の慶次雲のかなたに』なわけだが、原作を忠実に漫画化しているわけではない。

原作では慶次郎と呼ばれているが、漫画では慶次。

オリジナルエピソードも多いし、原作での唐入り編は出版社の意向で琉球編になっている。

漫画版に登場する実在の武将の多くが原作には登場せず、登場する場合も慶次との関係性がより親密になっている傾向がある。

慶次と前田利家の妻・まつとの関係は想定されていた読者の年齢層にあわせてぼやかされている。

奥村助右衛門の妹・加奈は、助右衛門が好き過ぎて他の男性に興味がないという設定も普通に慶次が好きだということになっている。

原作では「どちらかといえば風采の上がらない小男」とされている奥村助右衛門は漫画では堂々たる美男子になっているし、漫画ではかなりの面白ビジュアルと言動に仕上がっている四井主馬だが原作では普通に任務を果たそうとしているだけでエキセントリックな悪役というわけではない。

登場人物の年齢も漫画では主人公サイドの人間は若く描かれ、敵役ポジションの前田利家は実際には慶次とさほど年齢が違わないのに初老の男のように描かれている。

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しかし、両作品を読み比べてみても、原作・慶次郎と漫画・慶次のキャラクターに全くブレがなく、全体としては「なんか違う!」みたいなところがないのである。

『北斗の拳』終了後、自作である『CYBERブルー』(原作:bob、脚本:三井隆一、作画:原哲夫)が人気面で伸びないまま(個人的には面白かったと思うのだけど)打ち切られて悩んでいた原が担当編集者である堀江信彦に勧められて原作を読み、それに惚れこんで隆慶一郎に直談判してまで許諾をとったというエピソードがあるが、原哲夫の中での原作の慶次への強い思い入れと解像度の高さがあってこその、原作のイメージとのブレなさなのだろう。

『北斗の拳』で雲のジュウザやアインといった、どこか慶次を思わせるキャラをすでに書いていた原にとって、慶次の人物像は引き付けられるものがあったのだろうし、描きやすいところもあったのだろう。

面会時に既に病床にあった隆だがシナリオは自分が書くとまで言っており、実際に読み切りで掲載された第一話(オリジナルエピソード)の原作を書いたものの、現行の完結を待たずに他界。

その後、脚本担当として隆門下の麻生未央が参加、8巻以降は名前が記載されていないが(実際はどの時期まで制作に関わっていたのだろう)、麻生がどのような役割を果たしていたかも気になるところ。この人は藤森いずみ名義で『さわやか3組』(87年版)や『中学生日記』シリーズの脚本を手掛けている。

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