第507回 大河ドラマ『光る君へ』の大石静脚本がすごい!
1月から始まった大河ドラマ『光る君へ』、みなさんご覧になっているかしら。
平将門や平清盛が主人公の作品はあったものの、「今まで大河でほとんど扱われたことがない平安時代が舞台」「日記以外にほとんど資料がなさそうな紫式部が主人公」ということで、放送開始前は「どうなることやら」と勝手に心配していたアタシだけど……。蓋を開けてみれば、めちゃくちゃ面白いわ!
大河といえば、「合戦」や「戦争」がつきもの。鎌倉時代~江戸時代初期はもちろん、幕末ものなら「戊辰戦争」「西南戦争」、近現代ものなら「日清・日露戦争」「太平洋戦争」が登場したし、平和な江戸時代中期の作品でも、伊達騒動とか赤穂浪士の討ち入りとかがほぼ必ず絡んでいたわ。
そこで人々の葛藤が描かれ、一つの大きな見せ場になったり、戦というものの意味が問われたりしてきたわけだけど……。紫式部の頃って、戦らしい戦がまったくなかったのよね(当時の平安貴族たち、日がな一日、蹴鞠したり和歌を詠んだりしているイメージ)。なので、「どうやって話を盛り上げるんだろう」と思っていたけど、『光る君へ』を観ながら、「ああ、そうだった。この時代、物理的な戦はないけど、謀(はかりごと)がハンパないんだった」と、子どもの頃に読んだ『まんが日本の歴史』の内容を思い出したわ。
歴史的事実と完全なフィクションとを織り交ぜつつ、一人ひとりのキャラに濃い目の味付けを施し、毎回ちゃんと見せ場を作って、次回が気になるように終わらせる大石静先生の手腕、さすがすぎる……。