54本目・『大怪獣ガメラ』
来年誕生60周年を迎える大怪獣ガメラ。前回記したようにその道のりは平坦ではなかった。製作会社の倒産もあり、なんとそもそものライバル会社、東宝マークから始まるガメラが誕生(1995年)しようとは第一作のスタッフ、出演者、観客は誰一人想像できなかったのではないか。もし想像していた人がいたら、ま、そういう人とは距離を置きたいものです。私は人を欺いて抜けがけする人より共に苦労したり喜んだりできる人と生きたい。とはいえ、なかなかそれが難しいから人生孤独なのですが。
ガメラの大きな特徴としてふたつあると思います。
ひとつは前述したように子供の味方。
そしてもうひとつが炎を吹きながら空を自由自在に飛行すること。
子供の味方ということに関しては次回以後に記すとして(なんと、まだ続くのかという感じですが、続きそうだと思います)空を飛ぶということがこれは大きい。とくに誕生時のライバルであったゴジラに対してこれは大きかった。
ゴジラも飛んだことがまったくないわけではない。私の友人で言えば怒髪天の増子直純が大好きなヘドラ。ヘドラと戦ったときに口から吹く大量の火力で飛んだことがある(『ゴジラ対ヘドラ』1971年)。飛んだには飛んだのですがあれを空を飛んだと言っていいかどうか。目的地に向って長く飛ぶとか右行ったり左行ったりとかそういう類のものではない。ジャンプの延長。空を飛ぶ、の飛ぶではなく、跳ぶ、の延長。火力を用いた跳ぶ、ジャンプの延長だったと思う。