中国への追加関税はどう働く?
1月20日にトランプ大統領の就任式が行われ、いよいよ本格的にトランプ政権が発足した。以前からトランプ大統領は「中国への関税引き上げ」「ウクライナ戦争終結」などをスローガンに掲げているが、実際にトランプ大統領は腹では何を考えているのか。トランプ大統領の一挙手一投足が世界中から注目を集める中、ジャーナリストの篠原常一郎氏が2025年の世界情勢の行く末を予測する。
まず気になるのは、トランプ就任による日米関係への影響だ。
「今後の日米関係のあり方についてはトランプ氏も課題として捉えているようで、選挙期間中である昨年4月には麻生太郎氏に直接会って1時間半も対談しています。そして昨年12月には、トランプ氏からの信頼も厚かった故・安倍晋三氏の未亡人である安倍昭恵さんを自宅に招いて夕食会を行いました。肝心の石破氏とトランプ氏の会談も就任式前のタイミングに予定されていましたが、そちらは延期に。トランプ氏との関係においては他の政治家に先を越されており、はっきり言って石破氏のメンツは丸潰れです。トランプ氏は就任前にも各国の首脳と会談しているにも関わらず、日本の石破首相は未だに会談を実現できていません」
かつては世界で一番重要な二国関係と確認しあったほど緊密な日米関係であるが、アメリカから日本が軽視されているかのような対応に国内では懸念が広がっている。 アメリカという国、そしてトランプ政権について篠原氏はこのように語る。
「トランプ政権にはじまったことではなく、民主党政権の頃からアメリカは一貫して国益優先主義です。トランプ氏のやり方は、いわば“商売人の駆け引き”で、自国の利益だけはどうしても譲らない。だから日本も、今までのようにアメリカの言う通りにしていたら間違いない、というわけにはいきません。今度は日本も一国としてきちんと考えて動く必要があります」
そして、日米関係を考えるにあたり強く影響してくるのが、中国の存在だ。その影響の大きさを象徴するのが、先日、日本製鉄によるUSスチールの買収が見送りになった一件だ。買収見送りの理由は、日本製鉄が親中派企業であることをアメリカ政府が問題視したからだという。