59本目・『青春の甘き香り』その二
『青春の甘き香り』のDVDが遂に出る。テレビドラマだ。いわゆる昭和の時代に大流行していた昼メロ。その頃は専業主婦が多く、昼間、家にいる主婦のための番組が多く放送されていた。芸能、料理、ファッションを主に扱うワイドショー。そして主婦の好奇心と欲求不満を満たすための昼メロドラマ。テーマはズバリ、恋愛。それも危険な恋愛。許されない恋愛。その手のものが多かった。
「だめよ、私には夫が」
「いいじゃないですか奥さん!」
「いえ、だめッ、だめよッ」
「奥さんッ!」
「あ、だめ、あ、ああっ」
みたいな。
そうでないものもないではなかった。明るいコメディものや若い男性が努力する根性もの。そういうものもあるにはあったようだがこれは要するに主婦の人たちが夢中になれるようなカッコいい男性俳優が見どころだった。
いまとは世の中が明らかに違う。
その頃、結婚した女性は基本、家庭に入る。仕事をしていても辞めて家にいるようになる。掃除して洗濯して買い物して料理を作って。ネットもスマホもない時代に。あの山口百恵さんでさえ家庭に入ったのだ。
退屈といえば退屈だったろう。
繰り返すがネットもスマホもない。ゲームもない。当時はまだレディースコミックとかもない。
テレビの存在感はすごかった。
そして在宅率の高い主婦向け、女性向けのドラマは大人気だった。
その昼メロとして。主婦向けの連続ドラマとして作られたのが監督・森崎東、脚本・野上龍雄でスタートした『青春の甘き香り』だった。