発足後1カ月の支持率が69%と、上々の滑り出しの高市政権。だが、総理の一言がきっかけで巻き起った「日中対立」や連立パートナー「日本維新の会」のスキャンダル、高市政権に沸き立つ「ネット信者」の問題をはじめ、そこには死角も存在する──。
一線を踏み越えた総理の発言
高市政権が抱える問題の一つが、「台湾有事」を巡る総理の発言だ。そもそも台湾有事とは、中国が台湾へ武力をもって侵攻する事態を指す。中国は自国の領土と主張する台湾の統一を悲願としており、米国側からは「2027年台湾有事説」も唱えられてきた。政治部記者が解説する。
「中国は軍事力強化をすすめる一方で、米国もフィリピンとの防衛協力を深めるなど、警戒感をあらわにしてきた。こうした経緯の中で、台湾有事は“米中衝突”の起点となりかねないとされてきました。
ただ、専門家からは、現実には『2027年台湾有事説』の可能性は低く、むしろ中国は台湾の世論工作などに注力していると指摘します。軍事衝突を避ける上で重要なのは、緊張を不用意に高めない冷静な対応でしょう。
たとえば、垂秀夫・前駐中国大使は、台湾海峡の安定のためには、中国に対して『力による現状変更』を認めない姿勢を示すことに加え、台湾にも『現状を変更する行為、独立は支持しないことを言うべき』と指摘しています」
微妙なバランス感覚をもって対応すべき「台湾問題」。しかし、総理の一言が、深刻な日中対立を招いてしまった。きっかけは、11月7日の衆院選予算委員会における、立憲民主党の岡田克也元外相(72)がした、高市早苗総理(64)への質問だった。
「自民党副総裁の麻生(太郎)さんが『中国が台湾に侵攻した場合、存立危機事態と日本政府が判断する可能性が極めて高い』という言い方をしている」
