ああいった人の常で、誰が批判しようと本人の心が動くことはないし、今回のことでも彼の正義が揺らぐことはないだろう。本稿のテーマとはズレるので多くは触れないが、彼の推奨し販売するオゾン水発生機をめぐる批判なども誹謗中傷だととらえているような気がする。発売日が延々と延期し続け、たびたび何かの欠陥が発見される製品や販売会社は、その製品がなんであるかに関わらず、普通に批難されるものだろう。そういった指摘も妨害工作だと受けとるのだろうし、ますます自分が妨害されていると確信していくのだろう。
ASKA氏のblogのコメント欄を見ると、真意が伝わらなかったために批判されたと主張している彼のファンがいた。しかし、本当にそうだろうか。どういうつもりでの発言なのかを理解できた人は多かったと思う。ただ、他人の死を自分の想い描くストーリーに組み込んで、世界を憂いたり、世界を救いたいと自分の気持ちを好き放題言っているから、そういう他人への配慮のない自分勝手な気持ち、自分の世界しか考えていない様子が批判されたというだけで、本人の真意とかは関係ない話だ。
そういう身勝手さは訃報がでた早々に、特に思い入れもないのに故人に関係するエピソードをぞんざいに披露したり、さして興味もないのに無理矢理捻り出した〝感心されそうなお悔やみの言葉〟を言ってしまう人に見られる、故人をだしにして自分がウケようとしてしまう感情にも繋がるものではないだろうか。
〈金曜連載〉
写真/BUCK-TICK『悪の華』(1990年)
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PROFILE:
ロマン優光(ろまんゆうこう)
ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。
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