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北野武監督作『首』は面白い:ロマン優光連載268

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その他気になるところ

背景になった時代に関する知識があまりなかった場合、物語がわかりにくいのではないかという話もあるが、知識がある程度ある状態で自分は見ているので、それに関しては逆によくわからない。しかし、知人で劇中の甲州征伐を長篠の戦いと勘違いしていた人がいたが、物語を理解する上では別に影響があったわけではない。話としてはわかりやすく作られていると思うし、歴史物・時代劇を特に苦手としているような人でなければ、別に大丈夫なのではないだろうか。

ただ、そういった知識のあるなしによって、劇中の出来事の受け取りかたが細かく違ってくる場合もあるだろう。

例えば、荒木村重。彼の生涯や逸話(戦国時代が好きなオタクの中には歴史が好きというより、面白い逸話が好きなだけの人間も多いのではないだろうか)を知っているかどうかで、感じることが変わってくるシーンもあるだろう。他には弥助の存在もそういったものかもしれない。

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また、知識のあるなしで各シーンから伝わってくる情報量が違ってくるのは確実にある。宇喜多忠家が登場するのだが、単に秀吉の配下の武将Bくらいに受け取る人と、「戦国時代屈指の梟雄 ・宇喜多直家の弟にして、凶人・坂崎直盛の父の忠家!」、「蜂須賀小六は当然登場するだろうが、御子田でも尾藤でもなく、なぜ忠家が選ばれたのか?」、「直家で慣れてるから秀吉の謀略に気づきそうだよな」とか思う人とでは、劇中のシーンから受け取る情報量はかなり違ってくるだろう。しかし、そういう情報量の差は物語の理解には全く関係しないので、どうでもいい話ではある。

本編とは関係のない宇喜多一族のエピソードを延々と語ったり、土佐の生まれとしては「あの憎っくき仙石のやつが登場できなくてざまぁ」とか書きたい誘惑にかられそうだったが、そんなことをやってたらいつまでたっても原稿が終わらないので、これで辞めにしたい。戦国武将のオタクというのは、隙あらば自分の好きな武将の逸話をはじめたり嫌いな武将の悪口をいいだすので、本当にめんどくさいものだ。フィクションにおける歴史上の人物のキャラクター造形が自分のイメージと違ったり、扱い方が気にくわないとすぐに文句をいいがちだし、原作厨の一種だろう。まあ、自分のことだが。そして、そんな人間が執拗に語るような細かい話などは映画『首』を見る上で別に気にする必要はないのである。

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