報道によれば、なんらかの時間を過ごした女性たちに、3000円とか5000円とか1万円とかしか渡してなかったといいます。こういった状況で渡す額が少なければ、のちのちの不満の火種になりかねないのは明らか。超超大金持ちである松本さんなら10万円でも100万円でも渡して痛くも痒くもないでしょうに、少額しか渡してなかったわけです。これはケチだからではなく、渡さないことであえて女性側の腑に落ちない気持ちを誘発させたともとれますし、そのエピソードが暴露された時にケチでみっともないと印象づけることができます。天性の芸人であり、スキャンダルを“芸”にしたい松本さんからすれば願ったり叶ったりだったのではないでしょうか。
そもそも派手に遊んでいたこと自体も、自身の性的欲求というよりも、スキャンダルをこうして顕在化させることが目的だったのかもしれません。そう考えると、松本さんの引退劇に、「やめるほどのことじゃない! 松ちゃん、やめないで!」と言ってる擁護派も、「許すまじき行為だ!」と怒ってる批判派もすべては松本さんの掌の上で転がされていることになります。
松本さん、今頃は、幕引きまで“芸”に徹することができた、芸人を貫徹することができたという達成感でいっぱいかもしれませんよ。さすがは日本史上ナンバーワンのコメディアン、凡人の我々による浅い思考など到底及ばない高みにその芸はある、と言って差し支えないでしょう。
文/鈴木チチロー