これで貯金していないって、何なの? バカなの? 金に余裕があれば結婚も早くから考えられる。今のマッチングアプリみたいなもんはないが、近所の世話好きなおばちゃんが身元のしっかりした結婚相手を探してきて、お見合いさせてくれる。昭和と令和の恋愛結婚率は変わらないというデータもあるくらいだから、婚姻率が今より断トツに高い昭和では、モテないヤツでも結婚できた可能性がかなり高い……チッ。
金に余裕があれば子どもも産む。1970年の合計特殊出生率は2.13。夫と妻に子ども2人という、4人家族がスタンダードの時代になった。しかも核家族化が世間的にも許される時代になったことで、親と住む必要がなくなった。妻としては嫁姑問題といったストレスとは無縁で、かつお金に余裕があるので働きたくなければ専業主婦でいられるといった、夢のような生活が可能だったのだ。
これだけでも天国状態なのに、1980年代半ばから、例のアレがやってくる。
そう、バブル到来。
ボーナス袋が直立したって、ホントなの?
いや、マジだから。
海外研修旅行で経費使い放題って、ホント?
いや、マジだから。しかも団塊の世代はちょうど40歳前後で企業の中核。裁量権を与えられた頃だから、会社の金をどんだけ自由に使ったか、計り知れない。
海外研修という名の旅行でも下品に金を使って暴れまくっていた結果、87年『TIME』誌には「世界の観光地を荒らすニュー・バーバリアンたち」として、日本人観光客の酷さが特集された。何せ史跡は傷つけるわ、文化財の建物に「○○参上!」といったヤンキーみたいな落書きはするわで、今の中国人観光客のことを何も言えないレベルの酷さであった。