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野獣先輩:サムソン高橋「ハッテン場から愛をこめて」連載13

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淫夢や野獣先輩に対する私のスタンスは、以前こちらで書かせていただいた同じく同性愛のネットミーム『くそみそテクニック』と基本的には変わりない。厳しく非難することはないが(ネットの海に叫んでも無駄なので)、同性愛者を「笑いもの」として扱っている事実は自覚しておきたい。そしてご本人には一銭の得にもならないのだ。ただの著作権侵害の人権蹂躙だということは認識しておきたい。ネットで何度か「野獣先輩を探そう」という企画が持ち上がったことがあるが、これなどはっきりと言語道断である。ちなみに私も多少顔が似ているため野獣先輩説が噂されたことがある。失礼だ(野獣先輩に)。

さて。野獣先輩がネットの中で鵺のようなモンスターコンテンツになったのは、「純粋な悪ふざけ」だからだと思う。ある意味でネットの自由を象徴するものなのだ。俗に淫夢厨と呼ばれる淫夢コンテンツに夢中になった世代は今では30代40代も多いと思うが、中年になった今も淫夢厨を続けている者はまずいないだろう。内心懐かしいと思いつつ表向きでは眉をひそめるのではないか。さすがにそれが不謹慎で、表立って取り上げるものではないとわかるお年頃だからだ。それ故に淫夢厨は新しい世代が生まれて消えることがない。ネットの自由や悪ふざけを知った若者が真っ先に飛びつきやすいコンテンツだからだ。ある意味、ネットにおけるイニシエーションなのである。

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最近知ったのだが、中国本土で野獣先輩がたいそうな人気だという。それは理解できる気がする。大国で自由や悪ふざけをあれほど制限している国もないからである。そしてかの国はコロナ禍以降、同性愛に対しての締め付けも急激に厳しくなっているとも聞いている。

民主化運動が粉々に砕かれた国において、自由と解放の象徴として使われるのならば、私は野獣先輩の存在を認めてもよいと初めて思うのである。

 

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PROFILE:
サムソン高橋(さむそん・たかはし)
鳥取県出身。ゲイ雑誌『SAMSON』 編集部で編集者およびライターとして勤務し、同社の『SAMSON ViDEO』も制作。2002年に退社。その後はフリーライターとして活動。能町みね子と同棲生活をしている。主な著書に、『世界一周ホモのたび』(ぶんか社)シリーズ。
twitter:@samsontakahashi

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