その後、タクシーもバスも来ないし、なんとかオジーの定宿ホテルについたものの、大スターのオジーの泊まるホテルなので、当然ながら滅茶苦茶大きい。「急いできてください」とロマンポルシェ。の担当のY氏に説明を一応されたけど、どこにいけばいいのかさっぱりわからず、テンパってホテル内をうろうろしているうちに取材時間が終わり、オジーと会う機会は永遠に過ぎ去ったのである。いてもいなくてもどうでもいいと思われていただろうし、実際いなくても困らなかったわけだが、あの時は本当に申し訳なく、面目なかった。ほんとにすいません。
あれ以来、職質がほんとに嫌いだ。
『Sabotage』までのブラック・サバスの音楽性が好きというのとは別にオジーという人は自分にとって何か特別な存在であり続けた。自分の中でオジーとイギーとレミーは同じ人種であり、人間ではないような、存在自体が物語であるかのような人たちだ。怪人であり超人。中学生の考える悪のロック像から抜け出てきたような怪人であり超人。
アルコールやドラッグの耐性が強い人間のサンプルとしてオジーの遺伝子を調べた結果、遺伝子に常人とは違うところが数か所あったという真偽不明の記事を見たときも、なんかオジーだったらあり得るかもしれないと思ってしまう。そんな人だった。
レミーの時もそうなのだが、ほんとに実感がわかないし、亡くなることがあるなんて想像もしていなかった。
最後のライブの様子がSNS上に沢山流れてきたが、パーキンソン病の体をおして座ったまま歌うオジーの姿はやっぱりカッコよかった。最後のライブとは言っていても「やっぱりやることにしました」とまたやるんじゃないかとそんな気すらしていた。
まさか、ほんの数日後に訃報がつたえられるなんて。
「俺はこれしか得意じゃない」と語っていたオジー。でも、他の事が色々できる人はいくらでもいても、誰もオジーのようには歌えないし、オジーのようにステージで振舞うことはできない。
今日も世界中のよく知らないバンドの「Paranoid」のカヴァーを聴きながら、「みんなオジー好きだよなー」と思っている。それはずっと続くのだと思う。
〈金曜連載〉
画像/オジー・オズボーン『The Essential Ozzy Osbourne』
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PROFILE:
ロマン優光(ろまんゆうこう)
ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『嘘みたいな本当の話はだいたい嘘』『90年代サブカルの呪い』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。
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