この延長線上に出てきたのがコロナ禍における「反ワクチン」の言説だ。当時は神谷代表が先頭に立ってワクチンによる大量死や遺伝子改変といったデマを拡散し続け、返す刀で大手製薬会社、アメリカや日本政府の陰謀だと批判し続けた。これが話題となりXなどで急速に「反ワクチン信者」たちの支持を集めることになった。
「参政党のいびつな国家観は、このオーガニック信仰と通じる部分が多い。つまり、外部の血が入っていない純粋な日本人だけで日本人だけのための政治を行うというのです」(前出・政治評論家)
参政党の異常さを語る上で外せないのがこうした「陰謀論」への傾倒だ。反コロナワクチンに限らず、2020年のアメリカ大統領選では、神谷が先頭に立って「トランプが敗れたのはバイデン候補陣営が不正選挙を工作したから」という陰謀論を唱えたこともある。まさに日本版のQアノンなのだ。
恐ろしいのは、現在は陰謀論に根差した思想や価値観が、参政党が掲げる“甘い響きの政策”に巧妙にすり込まれていることだ。「教育改革」といえば聞こえは良いが、その実態は陰謀論や偏った歴史観を押しつけ、戦前回帰的な道徳教育を復活させる動きとセットになっている。「食と健康」はオーガニック信仰の思想そのもので、ワクチンや現代医療への不信を広める道具でしかない。「国のまもり」に至っては、外国人や外資の排除、移民制限など極端なナショナリズムを正当化する装置と化している。
参政党の政策とは極端な思想を都合のいい包装紙で包み込んだ、典型的なカルト的ポピュリズムに他ならない。オーガニックや教育などの「善さげな政策」に国家主義や差別意識を忍び込ませる、油断ならない存在なのだ。
組織も人物もヤバすぎる
参政党の構造を見て「新しい政治参加の形だ」「草の根の民主主義だ」といった肯定的な言葉を並べる有権者も多い。従来の政党が持つ中央集権的な体制とは異なり、参政党は「自分たちで支部を作り、候補者を立てる」「やりたい人が出馬する」といった、いわばオープンソース的な手法を導入している。その意味では“DIY政党”と呼ばれるのも頷ける。
「ただ、実際の運営実態を見れば、決して開かれた政党などではなく、むしろ統制の利かないカルト的ネット集団に近いといえます。ネット上の過激な言動を見てもマトモな政党とは思えません」(前出・政治評論家)
実際、XやYouTubeのコメント欄、あるいは街頭演説現場では、参政党に対する批判に対し党員や支持者が一斉に攻撃を加える突撃型のネット行動が頻繁に確認されている。意見の違いを許さないその姿勢は、まさにカルトそのものだ。
こうした党員の過激化に対して、党本部のガバナンスはほぼ利いていない。むしろ、代表の神谷を筆頭に、党幹部自身が「敵と戦う姿勢」「反主流メディア」「ネット炎上上等」という姿勢を打ち出している。彼らにとって炎上は党勢拡大の手段にすぎないのだ。