「しかも神谷代表は天皇中心の国を標榜しているわりに、『天皇に側室を設けることで皇統を維持すべき』といった、近代国家とは思えないほど反時代的な主張を公言したこともある。少なくとも皇室への敬意があるとは思えません」前出・政治評論家)
また、草案には「国益に反する言論の制限」や「公共の福祉に反するデモの取り締まり」なども盛り込まれており、要は「政府の意に沿わない言論は弾圧する」という全体主義的な思想が透けて見える。
「国が『主』で、国民は国益のために制限を受ける『従』なんです。その『国』の定義も曖昧ですし、いったいどんな国にしたいのか見えてこない。イメージとして近いのは戦前の天皇を中心とした一部権力による独裁でしょうか」(前出・政治評論家)
他の政策を見ても、皇位継承は「男系男子に限る」、LGBT理解増進法や同性婚には「強く反対」、選択的夫婦別姓には「認めれば治安が悪化する」と謎の論理を展開している。外国人の権利の制限も含め、多様性や包摂といった国際的な人権の潮流とは真逆を行く政治理念がむき出しだ。
このところ前面に押し出している『日本人ファースト』のキャッチフレーズなどはその典型だろう。アメリカのトランプ大統領になぞらえたこのスローガンは、一見するとシンプルな愛国的主張に聞こえるが、その根底には「外国人排除」「移民制限」「外資企業による日本のインフラ買収反対」といった排外主義的な思想が色濃く漂っている。アメリカが分断政策によって混乱している状況は他人事ではない。
「外国人を排除すれば経済や治安が復活するという主張には何の根拠もありません。政治や経済への不満を、移民や外国人への不安にすり替えてアピールしているだけでしょう。クルド人のニュースなどもあって漠然とした不安を持つ層は一定数いますからね」(前出・政治評論家)
オーガニック信仰と反ワクチン
歪んだ「日本人ファースト」のベースになっているのが「オーガニック信仰」だ。参政党はもともと「自然栽培こそが日本の未来を守る」としてオーガニック食品信仰を強く打ち出してきた。農薬や添加物、遺伝子組み換え食品を過剰に敵視する傾向もある。これは一種のスピリチュアル、ニセ科学だが、科学的根拠より印象や空気を優先してヒステリックに主張してきたのが参政党だ。
なにしろ彼らは「日本はGHQ以来の支配によってパンや麺などの小麦食が蔓延し、食糧事情をアメリカにコントロールされている。小麦を食べるのはやめて、給食なども米食を主流にして食料自給率100%を目指す」と実現不可能な主張をしている。