「彼女の名誉を回復するという同書の意図は明白ですよ。まるで緊張感のない生ぬるい言葉の応酬こそ、ジャニーズが作り上げてきたメディアとの関係そのもの。同書にはジュリー氏が早見氏に『これは書かないでほしい』旨の主張をするシーンがありますが、その程度の要望で全てが万事、言いなりになるという甘い忖度の世界に浸かり続けてきた人生というのが非常によくわかる内容でした」(同前)
同書は賛否両論が吹き荒れたが、瞬く間にベストセラーになった。Amazonのノンフィクション部門では、発売後にランキング1位を獲得。即日増刷が決定したという。
「本来、ノンフィクションや報道の視点で書かれるのであれば、早見氏が多角度に確認取材を行うべきだが、それが成されていないのです」(同前)
こうした批判が殺到する一方で、ジュリー氏というベールに包まれた存在の肉声にはスクープ性があるのも事実だ。例えば、冒頭の記述は、壊れた親子関係とメリー氏の毒親ぶりを象徴する鮮烈な場面の一つである。
自身が育てた嵐がブレイクを果たす前年の04年、ジュリー氏は結婚、出産を経験する。すると、メリー氏はジュリー氏の夫、つまり義理の息子に猜疑心を抱きはじめ、ある行動に出る。メリー氏は会社を乗っ取ろうとしていると疑い、彼ら双方に探偵をつけたのだ。ジュリー氏は同書で次のように明かす。
「それが母という人です。すごくチャイルディッシュな人だった。(略)もちろん母は自分がやっていないではあるんですけど、『あなたもこんなふうにみんなに追われているのよ』と。『気をつけなさい』といったことを私に伝えてきたんだと思います」
タッキー嫌いと排除の理論
ジュリー氏を知る芸能関係者たちは、同書をどのように読み解いたのか。
「業界内外からは概ね肯定的な意見が多いですが、特定のグループのファンなどからは辛辣なレビューが多いのも事実です」(同前)
具体的に、どのような箇所が問題となっているのか。