性産業に従事する女性=搾取か
大泉 そもそもわたしと神田さんのスタンスが近いのは、男性向けのエロメディア、男性を勃起させるための性表現をしていて、マキエマキさんとドルさんはあまり男女の区別のない性表現をしていると思うのですが、そちら側の立場からしてエロ本やAV、性風俗などの性産業についてはどう考えますか。
マキエ 搾取だって理屈はわかるんですけど、本当に好きでやっている人もいるわけだし、なくすこと自体無理だから別にいいんじゃない、みたいな。わたしにとってのエロ本やAV、性風俗っていうのは、豚骨ラーメンとか特盛カツカレーとかもつ煮みたいなもの。わたしは食べたくないけど、普通にあるものっていう意識しかないですね。
ドル わたしはオ●クラで働いていたことがあって。あれは一度流産して、付き合っていた人とも別れて、女としての自信を失していた頃で。漫画の仕事もガクッと減ってやぶれかぶれの時にオ●クラっていうのがあるらしいと知って。触られたりするのはちょっと抵抗があるかもしれないけど、人のオ●●ー見るくらいならいいかもって面接に行ったんです。半年くらい勤めたんですけど、そこでしか得られない面白さがあるなって。滑稽だし、店という管理されている安全な場所で人のオ●●ーを見ていると「男って可愛いものじゃないか」って、やっと男の人を許せる部分もあったんですよね。
神田 ツイフェミの人たちは、楽しんでAVに出たり、好きでオナクラで働いてる女性なんて、存在するわけないって信じてますよね。
大泉 いたとしたら、それは男社会に洗脳されていると。性を楽しむこと自体、男に都合よく洗脳されているという向きすらある。
ドル わたし、以前、『anan』のセックス特集でコメントを頼まれたことがあったんです。セックス中にどんな前戯をするかとか、そういうのを教えてくれと。で、素直に「フ●●チオをしながらタマをこう責めます」とか答えたんですけど、その記事を読んだ、知人のとある女性ライターさんのブログで「風俗嬢でもないのに、そんなことするな」ってめちゃくちゃに批判されて。その頃はまだわたしは風俗で働いたこともなかったし、自分が楽しませたくてやってるだけなのに、ダメなの? ってなってしまってしばらくはそういうことに過敏になってました。
マキエ わたしも旦那のち●こをしゃぶりながら擦りますよ。
神田 脅迫観念に囚われる女の人、多いんですよ。そういうのを読むと「わたしもやらなきゃ」とか「やれないわたしは、男から愛されないとでもいうの?」とか。
大泉 みんなタマ舐めないんですかね。わたしはデフォですけど。
神田 わたしは舐めないよ。お金もらえないなら。だってタマの裏の匂いがすごく苦手だから。でもわたし、夏になると左の脇の下だけ、あの匂いがするの。嗅ぎながら「タマ裏を舐めないから、呪いがかかってるのね」って。
一同 あはははは!
大泉 ドルさんみたいに、表現者としての仕事で批判されたことってあります?
マキエ それこそマキエマキをやりだしてから、エロい人、ヘンな人認定されて、それまで20年間やってきた仕事が全部なくなりました。担当者は全員男性でしたけど、いわゆる一般的な、常識的な社会っていうのはそういうとことなんですよね。
ドル わたしは大学時代からエロ系のライターをやっていたんですが、大学の先輩に「卒業後、このままエロの仕事をしようと思う」って話をしたら「エロの仕事は辞めときな」って。色がつくから、他の仕事がしたくなってもできないよって意味だったと思うんですが。
神田 1970年代のウーマン・リブ運動で活躍した田中美津さんのいう「母親と便所」の二種類の女がいて、そっちにいったらこっちに戻れないっていう変なレッテル貼りをするわけです。