若者に刺さった103万円の壁
「若い人や大学生などの親は喜ぶに違いない。しかし、しょせん選挙戦略。SNSなどに簡単に影響されて表層的にしか見ない有権者は、結局最後は騙されることになってしまう」(経済アナリスト) いま、政治で最も注目を集めているのが「103万円の壁」と言ってもいい。
そのきっかけは「国民民主党」の選挙政略だった。国民民主党は先の衆院選で、現役世代・若者世代の懐を豊かにするという政策を全面的に打ち出し、すべての政党の中で20~30代の支持を最も集めて議席を伸ばした。 テレビの報道番組の街角の若者インタビューでは、「国民民主党のことはよく知らなかった」「代表の玉木雄一郎氏をSNSで初めて見た」という声がよく聞かれた。また、玉木代表のショート動画が「はまった。手取り増やしますと面白いし分かり易い」などという反応も多かった。特に若者は、国民民主党や玉木代表をよく知らなくても「103万円の壁」にぶつかってきていた。
ただ、ここでしっかりこの一連の「壁」に関する政策を理解して、議論の成りゆきを厳しくチェックしておかなければ、後でひどい目に合うことになりそうだ。
国民民主党は、自らの党のアピールのためにも、この103万円の壁を少数与党の自民党や政府に迫り、
意気軒昂だ。しかし、一方で政府や自民党はしたたか。裏では怪しい動きが出てきているのである。 「103万円の壁」とは簡単に言えば、個人に対して所得税がかかる年収のラインだ。
個人で1年間に収入があれば、その年収に対して所得税が発生するが、年収が103万円以下であれば所得税は発生せず収めなくていい仕組みになっている。 また、103万円を超えるとそれは経済的には自立したと見なされ、税制上親の扶養から外れてしまい、親や配偶者がそれまで減免されていた扶養控除がなくなってしまう。