ちなみに2018年に文科省が公表した「教職員団体への加入状況調査」によると最も多い団体は日教組で、それでもたったの22.6%。次が全教の3.6%という有り様。教職員団体全体の加入率は33.3%で、3人に1人しか労組に加入していない。
教師の待遇に文句がある人数はそんなもんである。
「教師の労組は政治色が強くて入りづらい……」
それは知らんよ。だったら自ら労組を作って文句を言えばいい。それをやらないのは単なる労働者の権利放棄で知ったことじゃない。
「でも、働き過ぎでうつ病になる教師が年間5000人もいるんですよ!」
文科省が2018年に全国の教育委員会を通じて調べたところ、うつ病などの精神的な病気で休職した公立学校の教員は18年度は5077人いたという。
2018年の小学校教員数は約42万人。中学校教員は25万人。合わせて67万人。そのうちの約5000人ということは約0.7%。
うつ病やアルツハイマー病などの精神神経疾患に関する製薬会社のルンドベック・ジャパンが2014年に発表した「職場でのうつ病の影響調査」というものがある。世界16カ国にて過去1年間に従業員もしくは管理職にあった16歳から64歳の成人約1万6000人を対象としたその調査によれば、「うつ病と診断されたことがある」人の割合はイギリスが最多で約27%。日本は約10%だった。
それに対して教員は0.7%。10分の1以下。もはや「うつ病になりにくい職業」と言ってもいいレベル。
5000人という数を見た専門家は「学校に求められる仕事が増え続けていた、業務改善を早急に進める必要がある」と指摘したというが、お前は何の専門家か。「教師は忙しすぎる」と言わないと気が済まないというか、言うことでメシを食べている輩が日本には一定数いるらしい。
教師は忙しいとウソをついたり、騒ぎ立てているのは教師本人というよりも、そういった輩なのか……。
「いや、でも、『休みがない。休み時間も昼休みも常に仕事、仕事……』とか、『自分の子供の具合が悪かろうと自分の体調が悪かろうと休めない』とか、SNSやネットで訴えている教師も多くいます!」
そりゃ、いるだろうよ。しかし教師だけじゃない。いわゆる「ブラック企業」にはその何倍もいる。
政府が進める「働き方改革」において、残業時間の上限を「年間720時間以内」「月100時間未満」などとする「時間外労働の上限規制等に関する政労使提案」に公立校の教師たちが外されているのは、そこまで問題視されていないからに他ならない。
2014年に経済協力開発機構(OECD)が発表した「国際教員指導環境調査」によれば、日本の教師が1週間あたりに勤務する時間の平均は約53.9時間。週6日の8時間勤務で48時間なので、残業は週に13.9時間。6日で割れば1日約2〜3時間。月に24日勤務で約55時間。過労死ラインと言われている月100時間の半分程度。まあまあ忙しい会社程度だ。
ちなみに忙しいふりをしていると仕事を振られないため、なんちゃって残業をして、楽している教師もいるらしい。そんなヤツらが社会のルールを教えるのが日本の教育現場である。
文/ダテクニヒコ
初出/実話BUNKA超タブー2021年2月号