新作を出すごとに難解さとドロドロ感が増しているが、実態はモテない童貞の妄想であり、一種のオタクファンタジー。そこにアメリカの現代文学や音楽、アートを取り入れ、ミステリーの要素を盛り込むから、おしゃれな小説に見えるだけで、本質はラノベと変わらない。
村上春樹の小説など読んでも、モテない男がさらにモテなくなるだけで、いいことは全然ない。おめでたいハルキストたちは村上春樹がノーベル文学賞に落選するたびに大げさに残念がるが、むしろ受賞するほうが大問題だ。
こんなものが、新作が出るたびに社会現象になるほど売れまくるのだから、日本という国もホントに困ったものである。やれやれ。
画像/『街とその不確かな壁』(新潮社)
初出/実話BUNKA超タブーvol.19