――そもそも立花氏の「応援のための立候補」というのはアリなんでしょうか。
畠山 公職選挙法は基本的に「公職を目指す人は良心があるだろう」という前提の内容です。“2馬力”選挙なんて想定してつくられていないので、明らかに法の隙間をついた脱法に近い方法だと思いますね。それに、公選法では公平な競争が行われるための量的な規制として、配れるビラの枚数や選挙カーの台数だって決められている。それが2候補分になることで、明らかに選挙の公平性は損なわれたと感じています。
鈴木 立花が狡猾だったのは、「斎藤元彦さんに票を入れてください」って直接的な言い方はせず、「私に投票しないでください」と言っているんです。それでいて、元兵庫県民局長に関するデマを広げ、実質的に斎藤氏に票を集めるやり方。そのやり方はどうなのか、という指摘は当然あるものの、誰かに選挙管理委員会に通報されても、選挙期間中には検証は間に合わない。こうなる前に、現状の公選法でちゃんと網をかけられるように動かないと、民意が歪められてしまいますよね。
畠山 なおかつ、立花氏は選挙後にしれっと「斎藤さんはパワハラしていました」と前言を翻していますからね。それは流石にずるい。
鈴木 兵庫県知事選中は明らかに立花が変な評価をされていたなという印象が強い。
畠山 私は兵庫県知事選の際、ほかの6人の候補の街頭演説の動画は有権者の判断に役立つだろうとアップしたんですが、立花氏の演説動画は上げなかった。自身で「当選を目指さない」と明言していたから上げるべきではないと判断しました。そこにはずっと選挙を取材してきた立場から感じる自分なりの怒りがありました。選挙とは関係のない他人のプライベートな部分を断定的に拡散して選挙の邪魔をしたことには非常に怒りを覚えましたね。