PR
PR

フジテレビを支配する日枝久の裏切りと独裁

エンタメ
エンタメ社会
PR
PR

たとえば一連のクーデターの中では鹿内派と言われていた幹部たちを次々と左遷しており、1990年代にも多くの幹部が日枝の不興を買ってポジションを失っている。さらに2000年代以降も日枝が打ち出した改革による経営方針の転換やメディア戦略の変更という名目の下、何人もの取締役や執行役員が事実上の左遷となっている。

「編成、報道、制作、営業といった主要部門に自分の意向に従う人間を配置し、徹底的な統制を行ってきました。側近や有力な社員には見返りを与えて忠誠を確保する恩顧政治です。日枝の信任を受けた役員は高待遇になるし、定年後も条件のいい関連会社に再就職する道が保証されています。いったんは社外に外された港浩一が社長として復活できたのも、女子アナに接待された大手芸能プロ幹部から推薦を受けた日枝が独断で決めたと言われています」(前出・フジテレビ関係者)

その一方で日枝の方針に逆らえば容赦なくトバされ路頭に迷うことになる。こうした粛清によって社内では日枝に逆らえない空気が醸成され、その結果、現在のフジテレビで出世した幹部たちは日枝に忠誠を誓ったイエスマンばかりとなってしまったのだ。

PR

それだけではない。日枝がフジテレビで盤石の権力を築いた背景には、フジテレビ社外の人脈、とりわけ政界、財界との深い関係が挙げられる。日枝は経団連副会長や東京五輪組織委員会の理事を歴任するなど、政財界に広い人脈を持ち、フジテレビの経営環境を有利に保ち続けてきた。中でも有名なのが自民党の有力政治家との蜜月で、早稲田大学で同期だった縁で親しくなった森喜朗にはじまり、小泉純一郎、安倍晋三といった歴代総理とも極めて親しい関係を築いてきた。

「日枝がトップに立ってからフジサンケイグループ全体が右傾化していったのは偶然ではありません。特に00年に首相となった森喜朗や清和会と近かったことからフジテレビの報道は露骨に自民党擁護にシフトしており、小泉政権時には郵政民営化擁護の論陣を張っています。清和会の頃から付き合いがあった安倍政権下では旭日大綬章も受賞しており、安倍が松本人志の『ワイドナショー』に出演したのも日枝の存在があったから。この偏った報道方針に反発した報道幹部が左遷されるケースも多かったですよ」(前出・フジテレビ関係者)

同じくメディアグループを支配していた読売グループの故・渡辺恒雄と比べられることも多いが、日枝個人はゴリゴリの保守主義者というわけではない。ナベツネに比べて政治的イデオロギーよりも経営的利益を優先する姿勢が強く、自民党と近いほうが利益があるからという理由で保守を支持していただけの現実主義者である。

そんな日枝の人脈を社内外に示した象徴的な出来事が05年に起きたライブドアの堀江貴文によるフジテレビ買収騒動だろう。

タイトルとURLをコピーしました