しかも、近年は批判の対象が秋篠宮家に偏っており、天皇制を支えるもう一つの柱を問題家族として描くことで、制度への不信を誘導している節すらある。
「メディアは皇室制度のあり方を問うつもりなどありませんよ。世論という匿名の欲望を代弁し、誰かを吊るし上げることでカタルシスを得ているんです。報道姿勢から見えてくるのは、報道の自由を隠れ蓑にした集団的ハラスメントの構造です」(前出・女性誌記者)
皇室報道という免罪符
近年、週刊誌や一部ネットメディアにおける皇室報道は、もはや何を書いても許される無敵のコンテンツと化している。皇族はその人格や人生をどう論評されても基本的には反論せず、裁判にも訴えない。それでいて大きな注目を集めるため、メディアにとっては非常に扱いやすいネタとなっている。裏を返せば、センセーショナルな記事で売上やPVを伸ばすことができる極めて収益性の高い「免罪符付き」のコンテンツというわけだ。
現在、その格好の標的となっているのが佳子さまだ。
たとえば『週刊女性』は「佳子さま『公務はお好き』でも『皇族の義務は嫌い』」という記事を出したことがある。内容は佳子さまが多く参加する公務と、少ないものを列挙しただけなのだが、そのうえで読者に「楽しい行事は出るが、地味な任務には消極的」という“わがまま”な印象を与える構成になっていた。
ちなみに皇族の公務の選別は宮内庁の調整や関係団体の要請によるところが大きく、皇族個人の自由裁量ではない。メディアはそうした事情を十分知ったうえで、佳子さま個人の問題にすり替えて報じているのだ。
その構造はジャーナリズムというより、むしろ芸能ゴシップに近い。
悠仁さまも進学のたびに叩かれ続けてきた。『女性セブン』は、「悠仁さまに立ちはだかる“東大受験の壁”」「悠仁さま『ご学友も一緒に東大へ』の大問題」といった特集を組んだことがある。筑波大学附属高校に進学した悠仁さまが、進学先として東京大学を希望しているという前提のもと、「現在の学力では合格は困難」「周囲に東大関係者を増やしているのは“裏口”対策ではないか」と指摘する内容だった。