国民民主や参政党の支持者に低所得者層が多いというデータはない。ただ、参政党の支持者には40〜50代のいわゆる就職氷河期世代や非正規雇用、自営業、中小企業勤務といった、既存の政治システムから取り残された層が多く含まれている。また、国民民主の場合は昨年の衆院選で20〜30代の若年層から相対的に高い支持を集めたことが判明している。若年層の不安定な雇用状況や物価上昇による実質所得の減少といった背景もあり、年収103万円の壁など現実的な生活課題に関する政策が評価されたわけだ。
こうしたデータから分かるのは、いずれの党も相対的に収入が低く、経済的不安を抱える層が支持基盤となっている事実だ。
「もちろん低所得者の中にもマトモな思考や判断力を持つ人はいます。その意味でこれらの政党を支持したのは経済面だけでなく、ネットに踊る美辞麗句に飛びついて『真実に目覚めて』しまった情報的弱者でもあるのでしょう」(前出・政治評論家)
もっとも、日本の低所得者層は世界的に見ればかなり恵まれている存在だ。生活保護制度や住宅扶助、各種免除や支援金、自治体のセーフティネット等々。使おうと思えば、最低限の生活は余裕で維持できる仕組みが完備されている。にもかかわらず、彼らはSNSや街頭演説で「この国は冷たい」「貧困が蔓延している」と泣き叫ぶのだ。
そして、こうした“底辺ポピュリズム”のツケを支払わされ、日本社会で最も割を食っているのがまっとうに働く中間層だ。正社員として働き、年収400〜700万円のレンジにいる世帯は、日本において最も税金を取りやすく、最も社会保障の恩恵から外されている層でもある。累進課税の影響をそれなりに受けるにもかかわらず、生活保護や手当、補助金の類からは対象外にされ、子どもを持っても支援は少なく、老後資金も自力。それでも文句を言わずに働き続けている。