その特権を得るため、中間層の中にはあえて所得金額を低く抑えて低所得層を偽装する者も少なくない。
「所得金額330万円以上は税率20%ですが、この額を切れば一気に10%と半分になりますからね。たとえば自営業者などは、経費や控除を使って節税する裏ワザが山ほどあります。家賃や光熱費を家事按分で計上したり高級車を経費にしたり、年間約81万円の所得控除を受けられるiDeCo
やふるさと納税などもそうですね」(前出・経済評論家)
もちろん真に困窮し、助けが必要な人への扶助は否定されるものではない。だが、それを悪用し、「低所得=保護されて当然」という発想で制度にぶら下がる人間が増え続けているのが現実なのだ。
中間層が搾取される不条理社会
低所得者には生活保護や各種扶助がある。富裕層には資産がある。そして中間層には、何もない。
統計上、「中間層」とされる層は、日本社会の中で最も数が多く、納税もしっかりこなしている。だが、今の社会における彼らは完全にワリを食う側に固定されてしまっている。まず、税金と社会保障の負担が重い。所得税、住民税、消費税、年金、健康保険、介護保険。いくら働いても、月給の2〜3割は強制的に天引きされる。年収平均値の405万円は手取りの時点で320万円程度になってしまう計算だ。