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税金や社会保障など優遇三昧なのに、低所得者の生活が苦しいは「欺瞞」

社会
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 しかも、それだけの負担にもかかわらず、生活保護受給者に比べて彼らが直接的な恩恵を受ける機会は少ない。たとえば保育料だ。年収500万あれば、子ども一人あたり月数万円の支払いが発生する。一方で、年収が低い家庭はほぼ無料。大学無償化、高校授業料の補助、子育て給付金など、中間層は所得制限で対象外になることもある。つまり「頑張って働くほど、支援が遠ざかる」仕組みが、見事にできあがっているのだ。

「給付金も補助金も、困っている人を助けるという建前のもと、可視化されやすい貧困層に集中して分配されています。その一方で、中間層の生活苦は数字に表れにくく、行政や政治にとって対応が面倒な存在なのです」(前出・経済評論家)

 実際、コロナ禍時の特別定額給付金(10万円)を除けば、中間層を救済するような政策はほとんどない。燃料高、物価高、教育費高騰、住宅ローン金利上昇といった生活を直撃するコスト増が続いているにもかかわらず、政府やメディアが注目するのはひとり親家庭や非正規雇用といった、わかりやすい社会的弱者ばかりである。

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 さらに悪質なのは、こうした構造的な冷遇が自己責任という名のもとに正当化されている点だ。「頑張れば報われる」「中間層なんて恵まれているほうだ」といった社会の声が事実をねじ曲げてしまっている。現実には報われるどころか、中間層ほどコスパの悪い生き方はない。努力は報われず、支援もなく、税金だけはきっちり徴収されるのだ。

 さらに言えば、今の日本では「中間層=金持ち」という誤認まで広まっている。特に若い世代やネット上では、「年収600万円あれば勝ち組でしょ?」「共働きで世帯年収900万とか余裕じゃん」といった極端な言説が当たり前のように飛び交っている。だが実際には、東京や都市部で住宅を買い、子どもを育てれば、年収700万でも貯金すらままならないのが現実だ。

 所得税を納め、年金を負担し、教育や医療も制度として成立させてきたのは、こうした「それなりに稼ぎ、それなりに働く普通の人たち」だ。では、そんな重要な中間層がなぜここまで冷遇されているのか。

 それは日本の社会が、「弱者を守る」という建前の下で声の大きい人間ばかりを優先してきたためだ。既存の保守政党は富裕層と高齢者しか見ておらず、リベラル系政党はヒステリックに弱者の味方をアピールするばかり。中間層が直面している税、社会保障、教育の不条理に本気で向き合ってこなかった。

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