◉The Door And The Window『Detailed Twang』(80)
Alternative TVのマーク・Pがメンバーにいる、全く知られていないバンドの80年のアルバム。イギリスのニュー・ウェイヴのアマチュアリズムの象徴ともいうべきアルバム。
Alternative TVは後のノイズロックや音響派、オルタナティブロックに引き継がれるような音楽的実験をほぼすべて先取りしながら、全てどこかしら失敗している稀有なバンドであり、偉大な失敗作ばかりを現代にいたるまで作り続けているバンドであり、そのリーダーであるマーク・Pが在籍するこのバンドはそれに輪をかけてなんとも言えないバンドだ。もちろん、私は大好きである。
聴いた人の多くをうんざりさせるであろう奇妙で単調な演奏力に欠けた楽曲がひたすら繰り返される。
聴きどころはTelevision Personalitiesの名曲「パート・タイム・パンクス」のドラムとボーカルだけのカヴァーと虚無感が無限に増大していく「Subculture Fashion Slaves」。だ。
聴く人を選ぶ音楽だが、ニュー・ウェイヴの根底にある一番大事なものがここにはあるのである。そこに意味がなにもないとしても。
〈金曜連載〉
画像/CDジャケットより
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PROFILE:
ロマン優光(ろまんゆうこう)
ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『嘘みたいな本当の話はだいたい嘘』『90年代サブカルの呪い』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。
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